「ワインとチーズをオシャレに楽しみたいけど、相性のよい組み合わせはあるのだろうか……」
「チーズの種類が多すぎて、何が自分の好みのチーズが選べない……」
「簡単にできるワインとチーズのペアリングを知りたい!」
スーパーや百貨店へ出かけると、たくさんの種類のチーズが並んであります。形も色も大きさも様々なチーズですが、どのチーズがどんな味わいで、どんな料理やワインと相性がいいのか、少し難しく感じる方も多いのではないのでしょうか?
本日は、レストランでソムリエとしてサービスしており、自身でもワインバーを営んでいる「ソムリエ Akiho」より、実際の経験をもとにワインとチーズのペアリングについてお話しさせていただきます。
普段からワインを嗜まれる方も、ちょっと特別な日にワインを飲む予定の方も、ワインと相性抜群のチーズをぜひお試しください。
- ワインとチーズのペアリングとは?
- ワインのタイプ別おすすめチーズの組み合わせ
- ソムリエが教える!ワインに合うチーズの選び方
- チーズを食べるならこれ!おすすめワインのご紹介
- まずは気軽にペアリングをやってみよう!
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ワインとチーズのペアリングとは?
「ワインとチーズ」よく聞く組み合わせですが、実は奥深く同時に少し難しい所もあります。
ワインとチーズのペアリングを知る前に、「ペアリング」の意味、チーズの種類、ワインとチーズは相性がいいといわれる理由を解説します。
ワインの基礎知識:ペアリングとは
ペアリングとは、一言でいうと「一皿の料理に一つのワインを合わせる」という意味です。
お店でコース料理を注文すると、アミューズや前菜から料理がスタートし、スープや魚料理、肉料理、デザートという流れで料理が提供されるでしょう。ワインペアリングは、その料理一品ごとに一種類のワインを合わせて楽しむというものです。
基本的にペアリングはレストランが提供するサービスの一つでしたが、現在では家庭でもペアリングを楽しみたいという需要が増えています。そのため、レストランに限らず、相性のよいもの同士を組み合わせるといった捉え方が一般的になっています。
ペアリングについてはこちらの記事で解説しています。料理をワインを組み合わせるコツを参考にしてみてください。
関連記事:【ソムリエが解説】ワインのペアリングとは?料理と合わせるコツを紹介 - theDANN media
代表的なチーズの種類をご紹介
チーズと一言にいってもその種類は膨大です。ワインと同様に地域ごとに様々なチーズがつくられており、世界中では約1000種類以上あるといわれています。
「そんなに多い中から自分の好みなんて見つけられないよ~!」
と思うかもしれませんが、ポイントを抑えることで自分好みのチーズや目的にあったチーズを選べるようになるでしょう。
ポイントは大きく2つあり、「乳種」と「製法」です。この2つを抑えることで、自身の好みやチーズの味わいの大体の予想ができます。一つずつ見ていきましょう。
【乳種】
読んで字の如く、チーズの原料となるミルクの種類です。「牛」「山羊=シェーヴル」「羊」この3つが主にチーズの原料となるミルクの種類です。
「牛乳チーズの特徴」
代表的なチーズの多くは牛のミルクから作られており、最もポピュラーな乳種といえます。なぜ牛が一番バリエーションが豊富なのかというと、牛は山羊や羊に比べて搾乳量が10倍以上多く取れるので、必然とチーズの種類も多くなるんです。
また、牛の種類によっても出来上がるチーズの味わいは変化するので、一概に牛のチーズはこう!と決めるのは難しいですが、比較的味わいにクセが少なく、クリーミーで親しみやすいチーズが多いです。
ちなみに、南イタリアを代表するモッツァレラチーズは水牛のミルクを原料としています。水牛も牛の仲間ですが、牛とは違い搾乳量が非常に少なく、飼育も難しいので、生産量はあまり多くはありません。そのため一般的に販売されているモッツァレラチーズは、水牛ではなく牛から作られているものもありますね。
「山羊乳=シェーヴルチーズの特徴」
山羊のミルクから作られるチーズはシェーヴルチーズといい、出来上がるチーズは小ぶりなものがほとんどです。これはミルクの成分が牛や羊と異なり、凝固しにくいので大きなチーズにならないのです。そのため食感もモロモロとした独特なものになります。
味わいは酸味の効いたものが多く、淡白な質感です。栄養価が高く、消化吸収もスムーズに行われるのが山羊乳=シェーヴルの特徴です。
「羊乳チーズの特徴」
紀元前5500年前と最も古くから食されてきたのが羊のミルクを用いた羊乳チーズです。羊乳チーズは、牛や山羊と比べて、タンパク質や脂肪分、ビタミンやミネラルが豊富です。できあがるチーズはまろやかでほんのりと甘い印象のものが多いでしょう。
今でも各地域を代表するチーズが作られており歴史の長いものが多く、味わいに個性を感じるものがほとんどです。
乳種によって味わいが変わってくるので、自分好みのチーズやワインと組み合わせたいチーズがどの乳種か意識して見てみるといいでしょう。
【製法】
チーズは製法の違いで全くといっていいほど味わいが変わってきます。製法によって出来上がるチーズにどんな特徴が生まれるかを知っておくことで、ペアリングの楽しみはぐんとアップするでしょう。
チーズの製法の分類は厳密にいうと9つ(*)あるのですが、ここでは流通量も多く手に入りやすく、ポピュラーな製法にフォーカスして解説します。
「ハード・セミハードタイプ」
ハード=加熱圧搾、セミハード=非加熱圧搾は、ミルクを圧搾する製法です。圧搾すると水分含有量が減るため、引き締まった食感になります。
また、水分が少ないため長期熟成することができ、熟成期間にともなって味わいはさらに複雑性を増します。ハード・セミハードタイプは何といっても熟成した後の味わいが格別です。
長いものだと36ヶ月以上熟成させるものもあり、旨味の塊を食べているような感じです。
代表的なハードチーズ:コンテ、ボーフォール、パルミジャーノ・レッジャーノ、ミモレット
「白カビタイプ」
白カビタイプは、チーズの表面に白カビを生やし、このカビの働きによって徐々に熟成が進むという製法です。チョーク状の食感からソフトで柔らかい食感に変化していきます。
クリーミーでまろやかな食感に程よく効いた塩味が白カビタイプの特徴です。熟成が進むと白色が茶褐色系に変化し、ピリリとした味わいがアクセントになりさらに複雑性が増すでしょう。ちなみにフランス語では白カビとはいわず、表皮に白い花が咲いたと表現します。
代表的な白カビチーズ:カマンベール ド ノルマンディ、サンタンドレ、ブリ ド モー
「青カビタイプ」
白カビタイプがチーズの表面にカビを生やすのに対し、青カビはチーズの内部にカビを生やして熟成させる製法です。青カビ菌は酸素を好むので、チーズの内部に空洞をつくりながら熟成をさせます。そのため出来上がるチーズはもろく崩れやすくなります。
青カビの菌は塩分濃度が高くても繁殖が可能なため、他のタイプのチーズよりも塩味がしっかりあり、ピリっとしたシャープで刺激的な風味が強くなります。最もクセの強いタイプのチーズでしょう。
代表的な青カビチーズ:ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、フルムダンベール
「ウォッシュタイプ」
ウォッシュ=洗うという意味で、チーズの表面を塩水やワインやブランデーなどのお酒で洗いながら熟成をさせるチーズです。
中世の時代、藁の上で熟成をさせているチーズに繁殖してきた雑菌を洗い流していた所、藁に付着していたリネンス菌という菌がチーズに入り込み独特の風味をもたらしたことからこのタイプが出来上がりました。
洗う素材や洗う回数により出来上がるチーズの特徴も異なります。塩水よりもお酒の方が風味も強くなり、また洗う回数も多い方が独特の粘り気が強いチーズになるのが特徴でしょう。
代表的なウォッシュチーズ:エポワス、モンドール、ポンレヴェック
「シェーヴルタイプ」
上記で説明した山羊のミルクで作られたタイプのチーズで、フランスの南仏やロワールが名産地として知られています。山羊のミルクはたんぱく質や脂肪球が小さくさらさらしたミルクのため、出来上がるチーズも淡白な味が特徴でしょう。酸味が強いため、木炭の粉を周りにまぶして酸味を和らげたものもあります。
代表的なシェーヴルチーズ:ヴァランセ、シェル シュール シェール、ピコドン
(*)チーズの製法9分類:フレッシュ、ソフト、白カビ、青カビ、ウォッシュ、シェーヴル、セミハード、ハード、パスタフィラータ
ワインとチーズはなぜ合うのか
そもそも、なぜワインとチーズは合うのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
「合うんだから合う!」
といってしまえば、簡単なのですが、そういってしまってはソムリエとして怒られそうなので、少し真面目に解説したいと思います。
ここで誤解をしないで頂きたいのですが、全てのワインとチーズの相性がよいわけではありません。ワインとチーズの組み合わせで相性のよいものもある一方で、決して一緒に組み合わせないほうがいいものもあります...(後ほど紹介します)
またチーズ単体でワインと組み合わせることが難しいということもあります。白ごはんにとろっとした卵をかけると美味しいですが、醤油などの調味料がないとあまり美味しいとは感じませんよね。
チーズも一皿の料理と同じように捉えてあげることで、ワインとの素晴らしいペアリングを楽しめるようになるでしょう。
ワインのペアリングとは?で、ワインと料理を組み合わせるポイントとして3つの「かく」が大切とお話ししました。チーズに関しても同様に3つの「かく」がポイントで、中でも「味覚」と「触覚」が重要です。
ワインとチーズを「味覚」で組み合わせるというのは、
・香りの共通要素を見つけて、同じ香りを合わせる
・味わいでお互いに欠けている所を見つけて、補完する形で合わせる
の2パターンがあります。
香りに関しては、チーズはワインと同じく発酵、熟成をするものなので、その香り成分は非常に多く複雑で、ハーブ系、ナッツ系、ジビエ系、スパイス系といった香りを感じます。ワインにも同系統の香りがあるので、ここを合わせることで相性はよくなります。
また、味わいに関しては、チーズには「塩味」「旨味」「酸味」に特徴を持つものが多々あります。ワインにおいては「酸味」を軸としつつ、「苦味」「甘味」も存在します。
ワインとチーズの五味のバランスを整えるようにすると非常に組み合わせやすく、口に含んだ時にバランスがよく相性がよいと感じるというわけです。
さらに「触覚」について、チーズにはクリーミーでねっとりしたものから、さっぱりした質感のものまで様々あります。ワインの質感は「酸」「糖分」「タンニン」「アルコール」また「温度」によって左右されます。
ねっとりした質感のチーズにはリフレッシュさせる酸が効いたワインがよいですし、さっぱりした質感には渋みのあるワインを合わせることで充実した味わいになります。
このように、ワインにしてもチーズにしても、合わせる要素の幅が広く、様々なアプローチでペアリングを行うことができるので、総じて相性がよいといわれるというわけです。
ワインのタイプ別おすすめチーズの組み合わせ
繰り返しになりますが、全てのワインとチーズが相性がよいというわけではありません。ペアリングに厳密なルールがあるわけではないですが、これまでの経験の中である程度決まった組み合わせというのは存在します。
上記のポイントを踏まえた上で、おすすめのワインとチーズの組み合わせを見ていきましょう。代表的な組み合わせを知っておくとオリジナルのアレンジもし易くなります。
香りや味わいが濃厚なフルボディの赤ワイン
フルボティの赤ワインには味わいがさっぱりとしたシェーヴルタイプのチーズと相性がよいです。濃厚なワインはまろやかな質感があり、酸味も穏やかなので、シェーヴルの淡白な質感を補うのと同時に、シェーヴルの酸味がワインと調和します。
また、フルボディのワインにはジュージーな熟した果実の香りもあるので、シェーヴルにベリーやイチジクのジャムを添えてあげることで、そのペアリングは格段に美味しくなるでしょう。
おすすめのフルボディの赤ワインは「シャトー・ポンテ・カネ」です。やや濃い、縁にオレンジがかったガーネット色。少しドライにしたカシスやブラックベリーなどの凝縮感のある黒い果実、牡丹や西洋杉、乾燥した肉やなめし皮、甘草やシナモンの甘苦いスパイス、ヴァニラやコーヒーの香ばしさ、腐葉土、キノコ、土を思わせる複雑さが感じられます。
2013年のヴィンテージのシャトー・ポンテ・カネはこちらからご購入いただけます。
酸味が強くキリッとした辛口の白ワイン
シャープな酸味があり冷たく冷やして美味しいタイプの白ワインには、旨味や塩味がしっかり効いたハードタイプの「コンテ」や「パルミジャーノ・レッジャーノ」、コクのあるブルゴーニュ地方のウォッシュタイプのチーズ「エポワス」などと相性がよいです。
そのまま単体で合わせても良いですが、ハードタイプのチーズはスライスしてグリーンサラダと合わせてオリーブオイルをかけることで、チーズの旨味とワインの酸味が上手く組み合わさるでしょう。
またウォッシュタイプは酸味があり、同時にタル熟成をしたブルゴーニュの上質な白ワインと非常に相性がよくいです。チーズの周りをすこし炙ってあげることで、香りともマッチするでしょう。
おすすめの白ワインは、「アンヌ・ボワッソン ブルゴーニュ・ブラン」です。白胡椒やコリアンダーなどのスパイスもわずかに感じます。強めのアタックで、ボリュームのある果実味やアルコール感を生き生きとした酸味が綺麗に和らげ、心地よい苦味ともバランスしています。
アンヌ・ボワッソン ブルゴーニュ・ブランはこちらからご購入いただけます。
フルーティな味わいのスパークリングワイン
果実味があり泡のピチピチとした弾けるスパークリングワインの質感は、ピリリと刺激のある白カビタイプのチーズと相性がよいです。
「カマンベール ド ノルマンディ」のような厚みと強い刺激のあるチーズには、ほんのり甘さを感じる南フランスのスパークリングやイタリアのアスティスプマンテのような甘さのあるスパークリングがよいでしょう。
「シャウルス」や「サンタンドレ」のようなクリーミーなチーズにはシャンパーニュのようなコクがあり、香ばしい香りのあるスパークリングが抜群に合います。
おすすめのスパークリングワインは「ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ スプマンテ ブリュット ピエロ マンチーニ」です。ヴェルメンティーノ 100%、ステンレスタンクでシャルマ方式で造られています。 淡いレモンイエロー。もぎたてのレモンや青リンゴ、すいかずら、ほのかにハーブの香り。アタックはやや軽く、軽快な泡、爽やかな酸味とコク、余韻に残る優しい苦味と塩味が食欲を増してくれます。
ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ スプマンテ ブリュット ピエロ マンチーニはこちらからご購入いただけます。
華やかな香りと深い甘みのある甘口ワイン
甘味を持つワインには塩味の強い青カビタイプがクセになるペアリングがおすすめです。ハチミツやアプリコット、さわやかな金木犀のような香りのあるソーテルヌのワインのような極上の甘口には、「ロックフォール」のような羊のミルクで作られるまろやかな質感があり、塩味の効いた青カビタイプが最高です。
チーズ単体でもよいですが、クルミなどのナッツやシナモンパウダーなどのスイートスパイスを加えるとペアリングの複雑性はさらに増すでしょう。
ソムリエが教える!ワインに合うチーズの選び方
では実際に、チーズを購入する際、失敗しないワインに合ったチーズを選ぶポイントをいくつかご紹介しようと思います。
すべてのポイントを同時に抑えるというのはご家庭では難しいかもしれませんが、知っておくことでアレンジの幅が広がるのは間違いありません。
①ワインのタイプとチーズのタイプの定番の組み合わせを抑える
まずは基本的なワインとチーズのタイプの相性を抑えることがポイントです。「ワインのタイプ別おすすめチーズ」でみたように、「乳種」と「製法」によって相性のよいワインというのは大体決まってきます。ここをしっかり抑えることで、大きく失敗しないチーズ選びをすることができます。代表的な組み合わせは以下の通りです。
ハードタイプ:コクのある白ワイン、タンニンのあるリッチな赤ワイン
白カビタイプ:スパークリングワイン、タンニンの穏やかなライトな赤ワイン
青カビタイプ:果実味の強い赤ワイン、極甘口の貴腐ワイン
ウォッシュタイプ:熟成した香り豊かな白ワインや赤ワイン
シェーヴルタイプ:爽やかな白ワイン、酸味と果実味のある赤ワイン
②産地を揃える
産地を揃えるということは、長い年月の間で自然と培われた文化や風習をそのまま感じるということです。
理屈で語るのは難しいですが、日本でも地元の食材と地酒というのは語らずとも美味しいと感じますよね。特にフランス産のチーズは地元のワインと長い間楽しまれてきたわけですから、同じ風土や文化で育ったものは必然と相性がよくなります。
③熟成度を揃える
ワインとチーズはどちらも熟成をすることでその味わいや風味は変化していきます。この熟成の度合いを揃えることで、香りの調和や味わいのバランスがとり易くなります。
ただ、ワインとチーズとでは熟成のスピードも変化の具合も異なるので特にハードタイプでは下記の基準を参考に選んでみてください。
フレッシュなワイン(1~3年程度):~6ヶ月熟成のチーズ
落ち着いてきて熟成段階のワイン(4~6年程度):12ヶ月~24ヶ月熟成のチーズ
熟成感をしっかり感じるワイン(7年以上):36ヶ月以上熟成のチーズ
また白カビやウォッシュタイプのチーズはハードタイプのように数ヶ月も熟成をするということはありません。
しかし、目安として表面の色が白色から茶色のトーンやオレンジのトーンが強くなるにつれ熟成度も高くなっていくので、色合いをポイントに選んでみてください。
④料理として相性を考える
チーズは単体としても完成度の高い食べ物ですが、料理の中で用いることでさらに奥深い味わいになり、楽しみ方も膨らむでしょう。
ワインと料理とチーズを組み合わせるとなると難易度としては高めですが、上記①~③を抑えていれば、ほぼ失敗することはないので、自由な発想でトライしてみてください。
ワインとのペアリングにおいて重要な3つの「かく」を意識してワインやチーズを選び、料理にすることで、より上質なペアリングを楽しむことができるでしょう。
⑤NGな組み合わせを知っておく
ワインとチーズには、①のように相性のよい組み合わせがある一方で、、相性のよくない組み合わせももちろんあります。最後にこのポイントを抑えておくことで、絶対に失敗しないワインとチーズの組み合わせを行うことができるでしょう。
クセの強い青カビやウォッシュタイプ:繊細な華やかな赤ワイン
▶︎ワインの香りをチーズがマスキングしてしまい、香りの同調がとれません。
ミルクの風味を感じるフレッシュタイプ:熟成感のあるコクありワイン
▶︎チーズのフレッシュさが際立ち青臭く感じます。
ピリっと刺激のある白カビタイプ:フレッシュで爽快な白ワイン
▶︎白カビの熟成した刺激がさらに増大し辛味を感じます。またチーズの熟成香によりワインのフレッシュな香りが青く感じます。
チーズを食べるならこれ!おすすめワインのご紹介
無数にあるワインとチーズですが、個人的におすすめのワインとチーズの組み合わせをここではご紹介させて頂きます。
これもこのワインとチーズじゃないとダメ!というわけではないので、同じワインやチーズがなくても「乳種」や「製法」を参考に似たようなタイプの組み合わせをぜひ試してみてください。
キャンティ クラシコ × パルミジャーノ・レッジャーノ
熟成してアミノ酸が結晶化したようなパルミジャーノ・レッジャーノをスライスではなくゴロっと塊にカットしたものを、熟成感がでてきたキャンティ・クラシコ(サンジョベーゼ種)をすこし高めの22-24度位で合わせます。
チーズの旨味爆弾のような味わいと塩味、ワインの適度な酸味とナッツのような熟成香が絶妙なペアリングを生みます。ワインとチーズどちらも比較的購入し易く、コストパフォーマンス最高のペアリングです。
チーズ単体で十分に美味しいですし、少し表面を炙るとさらに違ったニュアンスのペアリングを簡単に楽しむことができるでしょう。
コツは冷やして美味しいキャンティですが、すこし高めの温度にして香りに広がりを持たせることです。
おすすめのキャンティクラシコ銘柄
『キャンティ クラシコ・カステッロ フォンテルトーリ』
『キャンティ クラシコ・ヴィラ アンティノリ』
『キャンティ クラシコ・ブロリオ』
シャンパーニュ × シャウルス
シャウルスは白カビのチーズの中でもクリームの乳脂肪分が豊富で、常温でしばらく置いておくとトロトロとしてきます。表皮のピリリとした質感と中身のまろやかなクリームをあわせて、ブルスケッタのような香ばしく硬いパン生地の上にのせて少し炙り、ブラックペッパーと乾燥パセリをふりかけます。
これにシャルドネ種を主体として熟成をしたシャンパーニュを合わせるとよいでしょう。
厚みがあり、熟成によりキノコやローストナッツの香りがでてきたシャンパーニュは、泡の刺激がチーズの外皮とマッチし、クリームのなめらかなタッチがシャンパーニュのボディと同調します。さらにアフター抜ける熟成香が香ばしいパンと完璧にマッチするでしょう。
細身のフルートタイプのグラスではなく、大振りのグラスに注ぎ、香りと味わいのボリュームを引き立てるのがポイントです。少し贅沢なペアリングですが、一度は試してみる価値のあるペアリングです。
おすすめのシャンパーニュ銘柄
『シャルル エドシック・ブリュット リゼルヴ』
『アンリオ・ブラン ド ブラン』
『デュヴァル ルロワ・フルール ド シャンパーニュ』
ソーテルヌ × ロックフォール
羊のミルクから作られた世界三大ブルーチーズのひとつであるロックフォールは、まろやかな質感に青カビ独特の強い塩味とフレーバーを持ち合わせ、余韻にほのかに甘やかな印象を残します。このチーズに砕いたクルミとコンポートにした洋梨や黄桃を添えて、パンデピス(スパイスを入れたパン)があれば付け合わせます。
これに世界三大甘口ワインであるフランス・ボルドー地方の極上甘口ワイン・ソーテルヌを合わせます。
アカシアの蜂蜜のような爽やかな香りや金柑のコンポートのような華やかな香りがあり、味わいにはねっとりと豊かな甘味と同時に口中を潤すリフレッシュな酸味が混在しています。チーズとワインの質感は完璧に揃い、チーズの塩味とワインの甘味のバランスが整い、酸味がアクセントになります。
ペアリングの中でも完成度が高く、贅沢なペアリングです。ポイントはワインをしっかり冷やして、甘味にシャープさを持たせることです。
甘口のワインは開栓してからも数ヶ月は味わいが変わらないので、冷蔵庫に一本は入れておきたいワインです。
おすすめのソーテルヌ銘柄
『シャトー ギロー』
『シャトー スデュイロー』
『シャトー ドワジー ヴェドリーヌ』
まずは気軽にペアリングをやってみよう!
ここまでお読み頂きありがとうございます。今回はワインとチーズのペアリングについてみてきましたが、いかがだったでしょうか?
「ちょっと難しいかな~…...」
「意外と簡単かも?」
「このペアリング面白そう!」
など色々感じられたかもしれませんが、まずは実際に自身で試してみるということが一番大切だと思います。
今回ご紹介したペアリングはあくまで筆者なりの考えなので、試してみると自分の味覚とあわないこともあるかと思います。それもそのはずで、人それぞれ味覚含め感覚というのは千差万別。好みもその時のコンディションで変わったりもします。
こればっかりはやってみないとわからないというのが本当のところですが、お読みいただいたのをきっかけに、ワインとチーズのペアリングの楽しみを知り、是非色々試して頂き、自分なりのマイベストペアリングを見つけていただけたら幸いです。
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ソムリエ様が厳選した2000円から購入できる赤・白・泡のワインと、ワインにぴったりなお料理のレシピ(無料)をお楽しみいただけます。
レシピ本は、ワインソムリエ様とフードコーディネーター様が考案したお料理。
ワインとのペアリングによって、素晴らしいマリアージュが堪能できます。
いつものディナーが、まるで旅行先でふと入ったレストランにいるような楽しいひとときになるでしょう。
パートナーの方やご友人の方と、気軽にペアリングを楽しめます。
ぜひ、the newによる新しいワインのストーリーをお楽しみください。
執筆者プロフィール
ワインソムリエ Akiho
フリーのソムリエ(お酒の専門家)として活動中。
ソムリエ資格を複数保有、ブラインドコンテストにて優勝。同年、若手ソムリエの登竜門ソムリエ スカラシップにて最優秀受賞。
~私のミッション~
お酒を通して「人と人とが共有する時間の幸福度」を向上させること
~ソムリエの資格~
日本ソムリエ協会認定 JSAソムリエ 日本ソムリエ協会認定 JSA Sake Diploma 国際ソムリエ協会認定 ASI International Sommelier Diploma
~経験を積んだお店~
ホテル ニューオータニ大阪 フランス料理SAKURA オステリア エ バール ポレンタ 京イタリアン クアトロ セゾン T & C サービス Maison Lameloise~主な実績/寄稿~ポメリー ソムリエコンクール セミファイナリスト (2019) 第7回 JSA ソムリエ スカラシップ 受賞 (2018) 第1回 JSA ブラインドテイスティングコンテスト 優勝 (2017) 日本ソムリエ協会 機関紙 Sommelier 「日本料理って何なん?」連載 (2019.5-2020.11)