こんにちは、ワインをメインにお酒の情報や、ワインソムリエが語る本物の知識が身につくメディア theDANN media 編集長のダンです。
イタリアワインの中でも高級キャンティ・クラシコ。
あれ、キャンティワインとは違うの?という方もいらっしゃるでしょう。
「キャンティ・クラシコ」と「キャンティ」は異なるワインです。
正確には、元は同じワインだった2つですが、今回は「キャンティ・クラシコ」をメインに歴史や特徴を徹底解説します!
おすすめのキャンティ・クラシコも紹介しているので、キャンティ・クラシコに合う料理と合わせてペアリングを楽しんでくださいね。
それでは、はじまり〜はじまり〜
- キャンティ・クラシコとは?
- キャンティ・クラシコの産地
- キャンティ・クラシコの生産者
- キャンティ・クラシコの味わいや香り
- キャンティ・クラシコに合う料理
- おすすめキャンティ・クラシコ5選
- イタリアを代表する高級ワイン「キャンティ・クラシコ」を味わおう
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キャンティ・クラシコとは?
イタリアのトスカーナ州で作られるDOCGワインの一つであるキャンティ・クラシコは、特定の地域やブドウの割合、熟成期間が決められている、高級ワインです。
混同しやすいものでデイリーワインの「キャンティ」というワインがあるので、「キャンティ・クラシコ」との違いを解説します。
元はキャンティというデイリーワインだった
元を辿ると現在の「キャンティ」である2つのワイン。起源であるキャンティは、1716年に定められたワインの産地の境界線によって産地が特定されました。
キャンティ、カルミニャーノ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラなどに分けられた一つで、後の「キャンティ・クラシコ」の生産エリアとほぼ一致しています。
1870年前後、ブドウ品種であるサンジョヴェーゼは硬く飲みにくいワインだったため、他のブドウを混醸させて造られたのが現在のキャンティのはじまり。ベッティーノ・リカゾーリ男爵が「サンジョヴェーゼ70%、カナイオーロ20%、マルヴァジア(白ブドウ)10%」の混醸比率で造ったものが人気を博したとされています。
飲みやすくなったキャンティは、現在のキャンティワインのイメージと同じく「安くてうまい」デイリーワインとして世界的に大人気となりました。
一方で、キャンティの生産地域が拡大したことや質の悪いキャンティが出回るようになりました。一部の生産者たちがキャンティのブランドを守るために質の高いキャンティを「キャンティ・クラシコ」として独立させる動きに出たのです。
高級ワイン「キャンティ・クラシコ」までの経緯
1924年、一部の生産者が「キャンティ・クラシコ」を守るためにキャンティ・クラシコ教会を設立し、現在のキャンティ・クラシコのシンボルである「ガッロ・ネーロ(黒い雄鶏)」のマークを使い始めます。
「軽くて親しみやすい、価格もお手頃なキャンティ」のイメージから「重厚で貴品溢れる、高級なキャンティ・クラシコ」にするべく、キャンティ・クラシコ教会は躍進します。
1967年、キャンティがDOCに認定されると歴史ある地域のもののみ「キャンティ・クラシコ」という表記を用いることができるようになりました。
1984年、キャンティがDOCGに昇格します。品種の配合に関しても、補助品種として国際品種を10%までブレンドできるようになり、より洗練されたワインを造ります。
1996年、キャンティ・クラシコがキャンティから独立し、単独でDOCGに認定されました。品種の配合の変化も大きく、サンジョヴェーゼ100%の使用が認められたり、国際品種のブレンド比率が15%、2000年には20%と引き上げられたりします。
2006年には、白ブドウのブレンドがキャンティ・クラシコでは完全に禁止されたことで、キャンティとキャンティ・クラシコは全く別のワインになったといえるでしょう。
キャンティ・クラシコにはランクがある
キャンティ・クラシコはサンジョベーゼ種のブドウを最低80%使用し、混醸は黒ブドウのみと規定されています。また、最低熟成期間11カ月を経て酸味と甘みのバランスがとれた最高のワインに仕上がります。
さらに、キャンティ・クラシコの中でも3つのランクに分類されます。
キャンティ・クラシコ/アンナータ
アンナータは、キャンティ・クラシコの中で一番ベーシックなランクです。
サンジョヴェーゼを80%以上使用し、最低11ヶ月熟成させます。値段も手が届きやすく、テロノワールを感じることができる味わいで幅広い料理に合わせることができるでしょう。
キャンティ・クラシコ/リセルヴァ
リセルヴァは、最低熟成期間24カ月のあと、瓶内熟成期間3か月とたっぷりと熟成させます。畑を限定していたり、生産本数も多くないため、アンナータより価格が高くなります。
その分味わいも複雑性を増し、ボディもしっかりと洗練されてくるでしょう。
キャンティ・クラシコ/グラン・セレッツィオーネ
グラン・セレッツィオーネは、キャンティ・クラシコの中でも最高ランクのワインです。サンジョヴェーゼを80%以上使用する点は変わりありませんが、ブレンドしてよいのは自社畑で生産した黒ブドウのみ。最低熟成期間30ヶ月のあと、瓶内で3ヶ月以上熟成させ、アルコール度は13%以上となります。
キャンティ・クラシコの中でも上位5%にあたる、プレミアムなワインです。
キャンティ・クラシコの産地
キャンティ・クラシコの産地は、トスカーナ州、フィレンツェとシエナの間の9つの地域にあり、それぞれが個性のあるワインを産出しています。
トスカーナ州は温暖な気候のうえに日照時間が長いのがブドウの生育に好影響を与えており、美味しいワインを作り出す源泉となっています。
土壌はそれぞれの地域によって少しずつ異なりますが、石灰質と粘土質が共通しておりミネラルやタンニンが豊富なブドウが育つのが特徴です。標高が高い地域ほど、ミネラルやタンニンがより強く感じられるワインが作られる傾向があります。
9つの地域は以下の通りです。
・サン・カッシアーノ・ヴァル・ディ・ペサ
・グレーヴェ・イン・キャンティ
・タヴァルネッレ・ヴァル・ディ・ペサ
・バルベリーノ・ヴァル・デルサ
・ポッジポンシ
・ラッダ・イン・キャンティ
・カステッリーナ・イン・キャンティ
・ガイオーレ・イン・キャンティ
・カステルヌォーヴォ・ベラルデンガ
しっかりとしたミネラルやタンニンを感じたい方は「サン・カッシアーノ・ヴァル・ディ・ペサ」「バルベリーノ・ヴァル・デルサ」「カステッリーナ・イン・キャンティ」で造れられたものがおすすめです。
繊細な酸や果実味を生み出しているのは「ポッジポンシ」「ガイオーレ・イン・キャンティ」でしょう。
地域によって異なるアタックやアロマ、フレーバーの違いを楽しんでみてくださいね。
キャンティ・クラシコの生産者
キャンティ・クラシコには、さまざまな生産者がこだわりをもってワインの生産をしています。ここでは、キャンティ・クラシコの代表的な生産者を紹介します。
カステッロ・ディ・アマ
1972年、トスカーナ地方でも歴史的な地域であるガイオーレ・イン・キャンティ地区をカステッロ・ディ・アマが買取りワイナリーがスタートします。徹底した品質主義と、キャンティ・クラシコ」のワインを造るのではなく、 あくまで「カステッロ・ディ・アマ」のワインを造るというこだわり。
カステッロ・ディ・アマが所有するガイオーレ・イン・キャンティ地区の畑の標高は、キャンティ・クラシコ地区の中でも最も高く、500m前後です。そのため、日当たりと風通しがよく、温暖な気候のためブドウの栽培には最適な土地です。
ブルゴーニュ的な『クリュ』ごとに収穫・醸造する方法を取り入れたり、収量を約50%に制限したり、工夫がなされています。
キャンティ・クラシコのブランドの確立に貢献したことが評価され、2003年にはイタリアの有名ワイン評価誌『ガンベロ・ロッソ』誌のワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2014年には、「サン・ロレンツォ キャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ2010年」ワイン・スペクテーター誌の6位に輝きました。
現在は、醸造家マルコ・パランティ氏が2代目オーナーを務めており、イタリアワインのトップを走り続ける、最高峰の生産者だといえるでしょう。
ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ
1964年、ミラノでワインコンサルタントをしていたヴィットリオ・フィオーレ氏が立ち上げたワイナリーがポデーレ・ポッジョ・スカレッテです。グレーヴェ・イン・キャンティ地区に畑を購入し、現在の「イル・カルボナイオーネ」という畑を確立させました。
グレーヴェ・イン・キャンティ地区は、他のキャンティ地区の石灰質、ガレストロ質とは違い砂岩質、砂質が主体であるため、非常に水捌けのよい土壌です。日当たりや風通しも申し分ない上に、他のキャンティ地区にはみられない伝説のブドウ「サンジョヴェーゼ・ディ・ラーモレ」が植えられています。
2006年、白ブドウを混ぜなくてはならないという法律が撤廃されて、サンジョヴェーゼ100%のキャンティ・クラシコを生み出したのもヴィットリオ・フィオーレ氏です。
イタリア醸造技術協会理事や国際醸造家組合執行委員という要職をも歴任してきた「イタリアワイン界の重鎮」として、キャンティ・クラシコを語るには外せない生産者でしょう。
バローネ・リカーゾリ
なんといってもキャンティの生みの親、1000年以上もの歴史を誇る名門のバローネ・リカーゾリはキャンティ・クラシコの代表する生産者です。
1141年、リカーゾリ家が、キャンティのガイオーレにあるブローリオ城の城主となり、長くに渡ってワインの醸造を行います。
19世紀にベッティーノ・リカーゾリ男爵は、サンジョヴェーゼ種のポテンシャルを活かすために、サンジョベーゼ70%、カナイオーロ20%、マルヴァジア10%の比率でブレンドしたワインを造ります。このブレンド比率は「リカーゾリ男爵の公式」といわれ、キャンティの誕生でした。
現在は、ベッティーノ男爵のひ孫にあたるフランチェスコ・リカーゾリが1200ヘクタールに及ぶキャンティ・ワインのワイナリーの中でも最大規模のブドウ園を有しています。毎年200万本のワインを生産するワイナリーです。
また、フィレンツェ大学とアレッツォ醸造研究所と協力し、未来にサンジョベーゼ種の最良種を残すプロジェクトを行っています。土壌についてもイタリアで権威のある地質学研究所と協力し、それぞれのブドウ園の高度、気候、温度など詳細なデータを収集、土壌にあった品種の栽培が行えるよう研究に励んでいます。
キャンティ・クラシコの原点から未来までを担う、素晴らしい生産者です。
キャンティ・クラシコの味わいや香り
キャンティ・クラシコの香りは、濃厚なルビー色と重なるクランベリーやプラム、リコリスなど赤色の果実を連想させるアロマです。また、サンジョベーゼ種の特徴であるハーブやシナモンなどスパイスの香りも融合しています。
酸味と甘みのバランスが良く、時間をかけて熟成されるためタンニンがまろやかになり深みのある味わいが特徴です。凝縮感のある辛口のワインで、温度の変化によって異なる香りを楽しめるのも魅力です。グラスはワイングラスなら何でもOKですが、特にリゼルヴァは大ぶりのワイングラスを選ぶとより味わい深く飲むことができるでしょう。
ワイングラスについて詳しくなりたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。グラスの基礎知識をつけて適切なグラスで飲めば、ワインの味わいもぐんと高まるでしょう。
【2022年完全版】今さら聞けない!?ワイングラスの種類とおすすめグラス10選! - theDANN media
キャンティ・クラシコに合う料理
キャンティ・クラシコは辛口の赤ワインであるため、肉料理との相性が抜群です。イタリアワインはワインと料理の産地を合わせるのが慣習であるため、フィレンツェ風ステーキやトマトの煮込み料理などと合わせると良いでしょう。
また、キャンティ・クラシコは和食と相性の良いワインでもあり、モツの煮込みやジンギスカン、牛肉と野菜のオイスター炒めなどと合わせて飲むのがおすすめです。
魚料理でも、いさきのカルパッチョやマグロのタルタルソース添え、スモークサーモン巻きなどは、キャンティ・クラシコとの相性が良好です。
美味しいワインには美味しい料理を合わせたいですよね。ソムリエがワインと料理のペアリングのコツをこちらの記事で解説しています。せひ、参考にしてみてください。
関連記事:【ソムリエが解説】ワインのペアリングとは?料理と合わせるコツを紹介 - theDANN media|お酒の総合メディア
おすすめキャンティ・クラシコ5選
カステロ・ダルボラ・キャンティ・クラシコ 1,531円
7世紀からワイン造りを始め、イタリア最大のエステートを所有する名門ワイナリーのゾーニン社のキャンティ・クラシコです。凝縮した果実とスミレのアロマが香しく、なめらかさと力強さを兼ね備えた味わいが特徴です。
肉料理や熟成したチーズとの相性が抜群で、料金もお手頃なので気軽に飲めるテーブルワインとして楽しめます。
ソムリエはワインと肉料理のペアリングについて徹底解説した記事はこちら!おすすめのワインやマリージュについてご紹介しています。
関連記事:ソムリエ直伝!ワインと肉料理の最高の組み合わせ!おすすめワインもご紹介 - theDANN media
フォンテルートリ キャンティ・クラシコ 2017 マッツェイ 1,595円
トスカーナの名門貴族、マッツェイ家のワイナリーで作られたキャンティ・クラシコです。サンジョべーゼ種が90%と高い比率で使われており、ダークチェリーやスパイスの風味が強く、なめらかな口当たりのワインとなっています。
均整の取れたエレガントなボディで、ハンバーグやミートローフなどひき肉料理との相性も良好です。フルボディで飲みごたえもあり、手軽に飲みやすいコスパ抜群のワインです。
ファットリア・ディ・ロルナーノ・キャンティ・クラシコ 2015 2,948円
ワインガイド誌ルカ・マローニで99点満点中97点を叩き出した、評価の高いキャンティ・クラシコです。ベストキャンティ・クラシコの称号を得たほどで、当たり年のワインといえるでしょう。
ほのかなスミレのアロマと、ベリーとプラムのフルーティーな味わいの中にスパイスやチョコレートの苦みが混じり合った複雑な味わいが特徴です。ちょっとした贅沢を味わいたいときにぴったりのワインです。
ソムリエがワインとチョコレートのペアリングについて徹底解説した記事はこちら!おすすめのチョコレートとのペアリングやマリアージュを解説しています。
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チェッキ キャンティ・クラシコ レゼルヴァ・ディ・ファミリア 4,754円
イタリアで評価の高いグルメ誌において最高評価のトレビッキエリ賞を受賞している、チェッキ社によるキャンティ・クラシコです。果実の凝縮感となめらかなタンニンのバランスが良好で、フルボディのしっかりした飲みごたえです。
ロースト肉やジビエ料理など幅広い肉料理に合いますが、おすすめはチーズです!飲み頃の温度は18度ほど、熟成期間の長いレゼルヴァ特有の、濃厚でスムーズな味わいを堪能できるでしょう。
ソムリエがワインとチーズのペアリングについて徹底解説した記事はこちら!おすすめ のワインやマリアージュについてご紹介しています。
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モンタリアーリ キャンティ・クラシコ 1971 17,189円
1720年からワイン造りをするモンタリアーリのキャンティ・クラシコです。トスカーナ州の古酒の中でも、最も人気の高いワインの一つでもあります。
ラズベリーのフルーティーな香りにイチジクの甘さがブレンドされ、長い年月を経てもなお若さを残した味わいです。色合いはレンガのような赤茶色で、開栓してから2時間から3時間が飲み頃となります。値段は高めですが特別感もあり、記念日などにおすすめです。
イタリアを代表する高級ワイン「キャンティ・クラシコ」を味わおう
キャンティ・クラシコは、イタリアを代表する高級ワインです。起源を辿るとキャンティワインから派生したものですが、お手頃でポピュラーなキャンティワインとは一線を画するもの。
厳格な条件や偉大な生産者」のこだわりのもとに、現在のキャンティ・クラシコが成り立っています。今回ご紹介したおすすめのキャンティ・クラシコもぜひ、お楽しみください。
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レシピ本は、ワインソムリエ様とフードコーディネーター様が考案したお料理。
ワインとのペアリングによって、素晴らしいマリアージュが堪能できます。
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