こんにちは!ソムリエのAkihoです!
本日は、ボルドー地方の幻の白ワイン「クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドール」について徹底解説させていただきます。
「クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールってどんなワイン?」
「ボルドーって赤が有名だけど、白も美味しいの?」
「マニアックなワインをもっと詳しく知りたい!」
こんなことを思っていらっしゃる方は、是非この記事をご覧ください!
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールの歴史や特徴、おすすめのクロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールをご紹介します。
また、実際に飲んでみたいと思われた方はこちらからご購入して頂けますので、是非お試しください。
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- クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールはどんなワイン?
- クロ・デ・リュヌの香りや味わいは?
- クロ・デ・リュヌに合う料理
- クロ・デ・リュヌを買うならthe newがおすすめ
- 筆者おすすめのクロ・デ・リュヌ
- 辛口の逸品!クロ・デ・リュヌを味わおう!
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールはどんなワイン?
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールは、フランス・ボルトー地方で造られる白ワインです。
シャトーマルゴー、シャトーペトリュス、ル・パンなどのワイン名を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらは全てボルドー地方のワインです。超が付くほど有名なワインが数多くあるフランス・ボルドー地方で、クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールというワインは知る人ぞ知る幻のワインといわれています。
滅多にお目にかかれない、希少なワインを詳しくみていきましょう。
ソーテルヌで造られる辛口白ワイン
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールは、ボルドーの中でも「ソーテルヌ」という産地で造られます。
ソーテルヌは、ボルドー地方グラーヴ地区の南部、ガロンヌ川左岸に位置する産地で、貴腐ワインという特殊なブドウから造られる天然甘口ワインが世界的に有名です。ソーテルヌで造られるブドウは非常に高品質で、「ソーテルヌ」とワインのエチケットに書いてあるということはそれだけでワインの品質の証明になるのです。
ただ、「ソーテルヌ」を名乗るには条件があり、このエリアで栽培されるブドウから造られるのはもちろん、出来上がるワインは規定以上の残糖(甘味)がないといけません。この規定を守らないと「ソーテルヌ」というブランドは使えないということです。
「じゃあソーテルヌで辛口のワインを造ることはできないの?」
少しややこしいのですが、ソーテルヌで辛口の白ワインを造ることはできますが、辛口を造った場合、規定によって「ソーテルヌ」と名乗ることはできないのです。規定を満たしていないワインはより広域の地名を名乗ることしかできず、単に「ボルドー」という名前で販売されることになります。
つまり、エチケットだけを見るとボルドーという非常に広大な産地のどこで造られたのか分からないワイン、つまり品質がそこまで保証されていないワインということになるのです。
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールは確かにソーテルヌのブドウから造られてはいますが、味わいのスタイルは辛口のため、表記としては「ボルドーブラン(ボルドーの白ワインの意)」となるのです。
ボルドーでトップクラスの生産者「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」
これだけ聞くとクロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールは、ソーテルヌで造られるちょっと変わった辛口のワインということになりますが、このワインの秘密はこれだけではありません。
実はクロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールの生産者は、ボルドーの中でも極めてハイクラスなワインを手懸けていることで有名です。
その造り手は「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」といい、ソーテルヌの横のグラーヴ地区に位置する造り手です。「グラーヴの格付け16シャトー*」にその名を刻む名実ともに、他の造り手より頭ひとつ抜けた存在として君臨しています。
またクロ・デ・リュヌは、「ドメーヌ ド シュヴァリエ」の他にソーテルヌの代表格といえるシャトー・ギローを共同所有するオリヴィエ・ベルナール氏が始めたプロジェクトです。ソーテルヌという甘口ワインの聖地で並外れた辛口のソーテルヌワインを造りたいという思いから始めた一大プロジェクトに大きな注目が集まりました。
「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」が興したクロ・デ・リュヌには3つのラインナップがあり、「リュヌ・ドール(金)」「リュヌ・ダルジャン(銀)」「リュヌ・ブランシュ(銅)」です。
その中でも「リュヌ・ドール」は最も優れたブドウから造られるクロ・デ・リュヌのトップキュヴェになります。
*グラーヴの格付け:I.N.A.Oによって任命された審査委員会がメドックの格付けが制定された1855年から100近く後の1953年に作成、1959年に承認した格付け表。シャトーオーブリオンを筆頭に16のシャトーが列挙されている。
ソーテルヌ最高峰のシャトーに囲まれた畑
クロ・デ・リュヌは、ソーテルヌの一等地といえる場所に45haの畑を所有しています。その畑はシャトー・ギロー、シャトー・ダルシュといったソーテルヌの一級シャトーやソーテルヌのトップオブトップであるシャトー・ディケムの畑に隣接したエリアにあります。
1haあたり6500本という密植栽培を行っており、密度をあげることで、競争原理が働き根が栄養を吸収しようと地下深くまで伸びるのです。その結果、凝縮感のあるブドウを実らせることができます。
ただ、小まめな手入れをしないと湿気がたまりカビなどの病害が蔓延する場合があるので、密植栽培はそれなりのリスクもあります。
クロ・デ・リュヌでは「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」の専門チームが徹底的に畑を管理しており、その管理能力は折り紙付きです。畑は粘土や砂、石灰岩の混じった水はけの良い土壌で、平均樹齢35年のセミヨンとソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。
手摘みで厳選しオーク樽で熟成する製造方法
畑の質もさることながら、製造方法にも特徴があります。
まず、完全手摘みで厳しい選果を行うということ。手摘みは機械収穫の何倍もの労力とコストがかかるものの、完熟した健全なブドウだけを厳しく選別できます。
また除梗、マセラシオンをしないということもこのワインの特徴です。
梗とはブドウの実と実を繋ぐ枝の部分のことで、一般的には除梗をした後に、圧搾をしてワインを造ります。梗が残ったまま圧搾をすると、梗から出る青臭いピーマンのような匂いが果汁に移ってしまい、出来上がったワインにも影響を及ぼします。
ですが本当に完熟したブドウだけを使うと、梗もしっかりと熟れているため不快な匂いは生じません。反対に梗を入れることで、空気の入り込む隙間が生まれ、より健全に発酵が進んだり、ワインに複雑性を与えたりというメリットがあります。
除梗をしないで良いということはそれだけで、質の高いブドウから造られるという証になるのです。
また、マセラシオンは果皮に存在する成分を果汁に移し、味わいにヴォリュームを増すのが目的ですが、クロ・デ・リュヌはブドウ本来の味わいをワインに反映させるため、マセラシオンも行いません。
他とは違った工程を経て空気圧プレスで優しく圧搾された果汁は、グラヴィティーシステムによって、発酵・熟成が行われます。
グラヴィティーシステムとは、収穫から最終的に保管される熟成庫までの間、ワインに重力以外の外部の力を加えないで醸造を行うシステムのことです。最もワインに負荷がかからない方法として、ボルドーを初めとした品質の高いワイナリーで採用されているシステムです。
また発酵に自然酵母を使用することも、他のワインにはない独特な味わいを生み出すことに繋がっています。
クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドールの評価
栽培、醸造ともに質にこだわり抜いたクロ・デ・リュヌは、そのファーストヴィンテージである2012年から高い評価を受けています。
ワイン誌の双璧といわれるワイン・アドヴォケイトとワイン・スペクテイターのどちらもで91点を獲得し、一般的な「ボルドーブラン」とは一線を画す存在として注目を集めました。
また2016年ヴィンテージには、アメリカの大ワイン評論家であるジェームス・サックリング氏が94点を付けるなどして、歴史ある多くのシャトーと比肩する評価を得ています。
また年間約20樽という極少量生産の為、手に入れることが難しく、その希少性からも年々評価は高まっています。
クロ・デ・リュヌの香りや味わいは?
ソーテルヌで産まれるクロ・デ・リュヌは、爽やかなグリーンアップルや白桃、洋梨のような香りがありつつ、アカシアの花、ハチミツ、アーモンドやトーストしたパンのような香ばしい香りが広がりその奥行きが複雑性を生みます。
爽やかな印象とリッチな印象が混じりあった香りで、熟成を重ねることで、その香りはさらに多層的になります。
味わいのアタックには、活きいきとした口中をリフレッシュさせる酸とフレッシュフルーツをかじったようなジューシーな果実味があります。中盤から余韻にかけてペッパーやバターのようなフレーバーがあり、ヴォリュームを感じます。
またコクを与える苦味が、伸びてくる酸味と調和し長い余韻を作ります。コクとヴォリュームを感じるセミヨン種と爽やかさとリフレレッシュさせる酸をもつソーヴィニョンブラン種が良いバランスでアサンブラージュ(ブレンド)されており、見事に味わいの中で調和しています。
クロ・デ・リュヌに合う料理
クロ・デ・リュヌは単体でも十分に美味しいですが、料理と合わせることでさらにその真価をみることができます。アサンブラージュ(ブレンド)されたワインは香りのバリエーションに富み、ペアリングに向いたワインといえます。
また、様々な香りを持つワインは前菜の盛り合わせのようにいくつかの料理が同時にでてくるスタイルにも合わせることができます。
例えば、エスカベッシュのようなビネガーの効いた魚料理やほうれん草をたっぷりいれたキッシュ、熟成させて旨味のでたシャルキュトリーまで、このワイン一本で楽しむことができます。
さらに、充実度の高い果実味とコクのあるこのワインは白ワインながらヴォリュームたっぷりのお肉料理にもしっかり合わせることができます。乳飲み仔牛肉のようなミルキーなお肉を優しい白ワインのクリームソースで煮込んだ料理や、牛肉の赤身をパイ包み焼きにしてしっとりとした食感に仕上げ、キノコのデミグラスソースをかけた料理など、料理のヴォリューム感をワインがしっかりと包み込んでくれるでしょう。
ワインと料理のペアリングのコツに関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:【ソムリエが解説】ワインのペアリングとは?料理と合わせるコツを紹介 - theDANN media
クロ・デ・リュヌを買うならthe newがおすすめ
the newは、世界中のワインと料理を掛け合わせた新しいワインのストーリーをご提供いたします。
ワインソムリエ様にセレクトいただいたワインとフードコーディネーター様に考えていただいたペアリングのお料理のレシピ本をお届けします。
the newの第1弾のワインの一つは、2017年の クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドール。
<2017 Clos des Lunes Lune d'Or / クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ドール 2017>
色は輝きのある濃いめのイエローで、黄桃やアプリコット、アカシアやキンモクセイを思わせるよく熟した果実やお花の香りと、オーク樽由来のナッツやトーストなどの香ばしい香りが印象的。
そこにソーヴィニヨン・ブランのもつセルフィーユやディルのようなハーブの香りが優しく寄り添います。味わいは円みがあり、豊かでまろやか。総じて成熟度の高い、ボリュームのある白ワインです。
ワインの持つリッチさややわらかさに合わせて、まろやかさや濃厚さのあるお料理と合わせると大変美味しいでしょう。
こちらのワインを単品購入された場合、「かぼちゃのポタージュ・雲丹のせ」「サーモンのヴァプールクリームソース」のレシピが付属します。ヴァプールとは「蒸す」の意味で、フライパンを使って簡単に調理できます。
筆者おすすめのクロ・デ・リュヌ
「2016 クロ・デ・リュヌ・リュヌ・ダルジャン」
2016年のソーテルヌの評価は高く、非常に熟度の高いブドウからワインが造られています。
一部の地域では干ばつが起こるほどの猛暑となり、全体としてはやや酸が落ち気味となったソーテルヌですが、厳格な選果が行われているクロ・デ・リュヌ・リュヌ・ダルジャンは例年よりもフルーツの熟度が高く、リッチな印象が強く感じられながら、ピンと張ったような酸がしっかりと支えています。
ソーテルヌの甘口ワインに感じられるアプリコットやネクターのような甘やかな香りが辛口のこのワインにもしっかりとあり、他の産地の白ワインにはないオリジナリティーがあります。
数年の熟成を経ることで、適度なロースト香やスパイス香がさらに複雑性を増しており、今がとても飲み頃といえる状態です。同年のリュヌ・ドールと比較すると、熟成ポテンシャルはやや劣るものの、クロ・デ・リュヌの二番手として十分な満足感が得られる一本です。
辛口の逸品!クロ・デ・リュヌを味わおう!
本日は、幻のボルドー辛口ワインクロ・デ・リュヌについて解説させていただきました。ソムリエの筆者も中々お目にかかれない希少ワイン、一度は試してみて損はないワインだと思います。
ボルドーといえばどっしり赤、ソーテルヌといえば甘口でしょと思われる方は少なくないと思いますが、長い歴史をもつボルドーワインです。辛口の白ワインも他の産地に勝るとも劣らないポテンシャルを持っています。
今回ご紹介したワイン以外にもボルドーにはまだまだ秀逸なワインが数多く存在します。今までのイメージに囚われず自由な発想でワインライフを送って頂けたら幸いです。
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いつものディナーが、まるで旅行先でふと入ったレストランにいるような楽しいひとときになるでしょう。
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ぜひ、the newによる新しいワインのストーリーをお楽しみください。
執筆者プロフィール
ワインソムリエ Akiho
フリーのソムリエ(お酒の専門家)として活動中。
ソムリエ資格を複数保有、ブラインドコンテストにて優勝。同年、若手ソムリエの登竜門ソムリエ スカラシップにて最優秀受賞。
~私のミッション~
お酒を通して「人と人とが共有する時間の幸福度」を向上させること
~ソムリエの資格~
日本ソムリエ協会認定 JSAソムリエ 日本ソムリエ協会認定 JSA Sake Diploma 国際ソムリエ協会認定 ASI International Sommelier Diploma
~経験を積んだお店~
ホテル ニューオータニ大阪 フランス料理SAKURA オステリア エ バール ポレンタ 京イタリアン クアトロ セゾン T & C サービス Maison Lameloise~主な実績/寄稿~ポメリー ソムリエコンクール セミファイナリスト (2019) 第7回 JSA ソムリエ スカラシップ 受賞 (2018) 第1回 JSA ブラインドテイスティングコンテスト 優勝 (2017) 日本ソムリエ協会 機関紙 Sommelier 「日本料理って何なん?」連載 (2019.5-2020.11)