「日本酒50選シリーズ」は、「〇〇の日本酒を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」と題して、様々な銘柄や酒蔵を紹介するシリーズ記事です。
これまでの記事やこれからの記事はこちら、「おすすめ日本酒50選を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」に書いてありますので、ぜひ読んでみて下さいね。
No.11は「磯自慢」です!
はじめに
日本全国に数ある日本酒の中でも、銘酒と呼ぶことができる銘柄はそれほど多くはありません。
銘酒と呼ばれるようになるためには、少なくとも名水を用い、酒米へのこだわりをもって醸造されていることが必要であるわけですが、静岡県で生産されている磯自慢は、まさにこれらの要件をすべて満たしている貴重な日本酒です。
今回は、伝統と革新を重んじる磯自慢酒造とはどのような酒蔵であるのかを見たうえで、磯自慢の原料となる酒米の産地の特徴や、用いられている名水について詳しく説明します。

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磯自慢酒造とはどのような酒蔵か?
銘酒として名高い磯自慢を醸造しているのは、静岡県焼津市にある磯自慢酒造という蔵元です。
市内の鰯ヶ島に堂々たる蔵を構えているこの蔵元は、かつてこの一帯の土地を所持していた地主が、余った年貢米を用いて酒造りを始めたことが起源であるとされています。
その創業は、江戸時代後期の天保年間にあたる1830年であると伝えられており、そこから明治、大正、昭和、平成、令和と、幾多の時代を経て脈々と酒造りを続けてきました。
第二次世界大戦前までは、創業家の本業はあくまでも農家であり、酒造りは農閑期である冬場の副業という位置づけでしたが、戦後になって酒造りを専業とするようになり、焼津唯一の蔵元としての地位を確立しました。
200年を超える長い歴史を有する磯自慢酒造ですが、その経営は常に順風満帆だったというわけではありません。
例えば、昭和時代の後期に、全国的に日本酒の人気が衰えたこともあって、売り上げが大きく落ち込んだことがありました。
しかしその際、生き残りを目指して徹底的に品質を向上させることを追求した結果、いち早く業績を回復させることに成功するとともに、多くの人から銘酒として認められるようになったのです。
当時、磯自慢酒造が取り組んだのは、醸造している銘柄を吟醸酒や純米酒などといった特定名称酒と呼ばれるカテゴリーに分類される高品質の酒だけに限定するということでした。
このように伝統と革新を重視した酒造りを行ってきた結果として、磯自慢酒造は、日本中の日本酒愛好家から高い評価を勝ち取るに至ったというわけです。
磯自慢の特徴と品質へのこだわり
この磯自慢酒造が作り出す日本酒の銘柄が磯自慢なのですが、その名は、蔵元が本拠を構えている焼津市の南に広がる広大な海に因んで名付けられています。
その名の通り、海の男たちが好む、辛口のさっぱりとした味わいが特徴であり、焼津港で水揚げされる魚介類などの海の幸との相性も抜群です。
そのため、地元で磯料理が振る舞われる際には、多くの場合にこの磯自慢が食中酒として飲まれています。
日本酒の味を左右するのは材料となる酒米ですが、磯自慢では、兵庫県の加東市で作られている山田錦と呼ばれる貴重な品種のみを用いています。
この山田錦の産地の特徴は、瀬戸内海の温暖な気候と適度な降雨量によって、稲作に非常に適したエリアであるということであり、それによって一帯は全国的にも稀少な特A地区に指定されています。
山田錦は酒米として高い評価を獲得しているのですが、磯自慢酒造は、その山田錦の中でもとりわけ優れた品質を有する米だけを酒米として厳選して使用しています。
このように、徹底した酒米へのこだわりをもって醸造されていることからも、いかに磯自慢が高い品質を目指しているかが分かるでしょう。
また、磯自慢酒造では、酒造りに用いる蔵にも独自のこだわりを持っています。
蔵の内部に入ると、一面がステンレス張りになっているのですが、このような作りになっている蔵は全国的にも珍しい存在です。
ステンレスは蔵の中を冷却させる働きをするため、それによって雑菌が入り込むことを防止する効果が生まれ、蔵内が清潔に保たれるというわけです。
加えて、日本酒造りに欠かすことができない温度管理にも徹底的に気を配っており、休息加熱や急速冷却ができるように専用の装置が導入されています。
それらを配備するためには、多大な設備投資が必要となるのですが、そこまでコストをかけてでも高品質の日本酒を作り上げたいというのが磯自慢酒造の心意気であると言えるでしょう。
磯自慢の魅力とは
ここまで見てきたように、磯自慢は、品質向上のために一切妥協せずに醸造されています。
磯自慢酒造では、品質保証のために、特約酒販店以外で磯自慢を購入しないように呼びかけています。
また飲み方についても、開栓するまでは冷蔵庫に保管しておき、飲む際にはあまり冷やしすぎたり、熱くしすぎたりしないようにといった細かな指示を行っています。
このことからも、同社がいかに磯自慢の品質にこだわっているかが分かるのではないでしょうか。
さらに、磯自慢の魅力をより一層高めているのが使用されている酵母と仕込み水です。
磯自慢に用いられているのは、静岡県が開発した静岡酵母という名の独自の酵母と、南アルプスの白峰三山や日本百名山の一つに指定されている間ノ岳から流れ出る大井川の名水です。
これらを用いることによってまろやかな果実香ときれいな風味が生み出されるのです。
さらに、磯自慢酒造ではオリジナルの麹造りにも手を抜きません。
総杉造りの麹室で独自の製法を用いて数時間から数十時間かけて手作業で造られる麹は、静岡酵母との絶妙なハーモニーによって磯自慢ならではの独特の風味を醸し出すことに寄与しているのです。
原料から製法、保管方法、飲み方に至るまで、徹底してこだわりぬいて醸造されている日本酒であるということが、磯自慢を魅力あるものにしているのですね。
銘酒・磯自慢を楽しもう
以上で見てきたように、磯自慢は伝統と革新を重んじる磯自慢酒造が、酒米や麹、酵母などの原料にこだわり抜いて、丹精込めて醸造している静岡を代表する銘酒です。
さっぱりとした辛口でありながら、風味豊かな香りを有するこの酒は、日本酒に慣れない人でも気軽に楽しむことができる銘柄ですので、見かけた際には、是非一度飲んでみることをお勧めします。
ひとくちに磯自慢といっても、純米大吟醸から吟醸に至るまで様々なタイプが用意されていますので、いくつか飲み比べて自分の好みに合うものを見つけてください。
いかがでしたでしょうか。今回は「磯自慢の日本酒を徹底解説!辛口の味の特徴やステンレス蔵のこだわり」について書きました。ぜひ磯自慢を飲みながら、もう一度記事を読んでくださいね。
次回は「黄桜」です。
黄桜は、日本独特の酒造りの様子や日本酒の味そのものは海外からの注目も集めており、伏水蔵は外国人観光客にも人気のスポットとなっています。
記事はこちら>>黄桜(きざくら)の日本酒を徹底解説!伏見の湧水が生む味の特徴 - theDANN media
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