「日本酒50選シリーズ」は、「〇〇の日本酒を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」と題して、様々な銘柄や酒蔵を紹介するシリーズ記事です。
これまでの記事やこれからの記事はこちら、「おすすめ日本酒50選を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」に書いてありますので、ぜひ読んでみて下さいね。
No.18は「剣菱(けんびし)」です!
はじめに
日本酒を造っている蔵元の名家には何百年もの歴史を持っているところも数多くあります。
西日本の代表的な酒どころである兵庫県は灘に工場を構える剣菱酒造も長い歴史を持ている蔵元の1つです。
剣菱酒造といえば思い浮かべるのがあの特徴的なロゴマークです。
お酒に詳しくなく、剣菱という名前すら知らない人であってもあのロゴマークはスーパーなどで一度は見かけたことがあるという人もたくさんいるのではないでしょうか。
ここでは剣菱酒造の歴史や使用しているお米、水、そして麹について紹介しながら剣菱の魅力について解説していきます。
ここでは、今までの歴史とこれから未来への白鶴酒造について詳しく紹介していきます。
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剣菱の歴史とロゴマークについて
剣菱は現在は兵庫県の灘に蔵元を構えていますが、創業したのは灘ではなく、剣菱酒造のルーツである稲寺屋という蔵元が1502年に同じ兵庫県の伊丹市で創業したのが剣菱のはじまりです。
稲寺屋が製造するお酒は江戸でも評判が高く、とても人気のあるお酒だったのですが、いつから剣菱と呼ばれるようになったのかは定かではありません。
したがって剣菱という名前の由来についてはいまなお不明となっています。
1502年に創業したという事で、剣菱酒造は500年以上の歴史を持つお酒という事になります。
江戸時代からの歴史あるお酒という事で剣菱は当時の文献や歴史の舞台にもたびたび登場しているお酒です。
江戸時代に兵庫県で起こった事件として有名なのが「忠臣蔵」で知られる赤穂浪士の討ち入りでしょう。
赤穂浪士達は討ち入り前夜に全員で酒を酌み交わしたとされていますが、その時に飲んでいたお酒が剣菱だったといわれています。
赤穂浪士の討ち入りの様子は江戸中期に歌舞伎の演目となり、現在でも人気の演目の1つとなっていますが、そのワンシーンで現在では「酒を持て」というセリフとなっていた部分が当時は「剣菱を持て」というセリフだったという説もあるのです。
赤穂浪士が討ち入り前に飲んだという背景があるからか、剣菱の地元である灘や伏見などでは葬儀の際に剣菱を用いることが多く、「弔い酒」としても広く認知されています。
また著名な人物にも剣菱は愛されたお酒として知られています。
例えば八代将軍である徳川吉宗の御膳酒として剣菱が選ばれたこともありますし、江戸後期の漢詩人であり、酒豪としても知られている頼山陽もまた剣菱の愛飲者の1人とされています。
頼山陽は自らの作品の中で剣菱について語っていて、多くの蔵元がロゴを何度も変える中、創業時から一切ロゴを変えることがない剣菱を高く評価しました。
さらには歴史を動かした幕末の偉人にも剣菱を愛する人物がいます。
それは幕末の四賢候(しけんこう)の1人として名を連ねる土佐藩主山内容堂です。
彼は剣菱賦と呼ばれている、まさしく剣菱について語っている文献を出しており、その中で剣菱は何物にも代えがたい宝だと最大級の賛辞を贈っています。
これだけ多くの人に愛されたお酒である剣菱でしたがそれを製造している蔵元は安定しているとは言い難く、幾度も苦難を経験しました。
例えば創業蔵元である稲寺屋は後継ぎがいなくなったことによって廃業を余儀なくされますし、剣菱の事業を引き継いだ別の蔵元もそれぞれ異なる理由によって剣菱を製造し続けることが不可能になっていきました。
それでも剣菱というブランドネームの強さによって蔵元が次々とバトンタッチし、剣菱は造られ続けたのです。
現在の醸主である白樫氏が剣菱の事業を引き継いだのは昭和3年のことでそれ以降剣菱は灘でお酒を製造することになりました。
その後も水害や空襲などによって工場が被害を受けることがありましたし、昭和初期には他社に自社のブランドを売り、別のお酒を剣菱として販売して評価を著しく落とすなどさまざまな苦難に見舞われましたが、現在は自社製造に戻すなどして評価を取り戻し、現在に至っています。
剣菱といえば特徴的なロゴマークを思い出す人も多いでしょうが、このロゴの謎については大きく2つの説があるといわれています。
1つは天地陰陽和合の象徴であるという説です。
つまりロゴマークの上側である剣の形の部分が男性自身の象徴で下の資格は女性自身の象徴であるとし、このロゴマークは男女のまぐわいを形にしたものだといわれています。
もう1つは仕込みに使用する水がわきでる井戸を新しく替えようとしたときに不動明王の御尊体があらわれたため、当時の醸主が不動明王が握っている降魔の剣の刀身を模したためあのようなロゴマークになったという説です。
こだわりの製造
剣菱の特徴として挙げられているものに酒の色があります。
一般的なお酒の色といえば無色透明ですが、剣菱は少し黄色っぽいです。
この色を見てお酒が腐ってしまったのではと勘違いする人も居るかもしれませんが、これは剣菱が独特な製造にこだわった結果生み出されている色です。
その味は濃醇旨口と評されていて、先ほど書いたように剣菱を愛する多くのファンを生み出すもととなっています。
お酒を製造するために欠かせないものとしてお米と水がありますが、剣菱では兵庫県産の山田錦と愛山という酒米を使用しています。
剣菱は契約を結んだ農家で造られるお米しか使用しないことを徹底しており、これが安定したお酒の味を生み出せる理由だといっても過言ではありません。
水は灘が酒どころとなる大きな原動力となった宮水を使用しています。
宮水は発見当初からお酒造りに最適の水とされていますが、その理由はいまだ謎に包まれています。
かつては人工で宮水と同じ成分の水を製造し、それでお酒を造るという実験も試みたのですがなぜか天然の宮水のような美味しいお酒にはなりませんでした。
そしてお酒を製造するにあたっては麹と酵母も欠かすことができません。
優秀な麹を生み出すためには徹底した温度、そして湿度管理が必要ですが、剣菱では最適な麹室の設計法が言い伝えにより伝承されています。
酵母に関しては現在多くの酒造メーカーで導入されている人工的に乳酸を追加して酵母を造る方法を用いず、空気中の天然乳酸菌を利用した手法を守り続けています。
こういった細部にまでこだわった製造法によって500年たった今でも変わらない味を実現させているのです。
伝統を守ることによって変わらない味を実現
剣菱は江戸時代に創業され、500年以上の歴史を誇る酒造メーカーです。
あの特徴的なロゴは、作った当時から一度も変わることがなく、それはお酒を造る姿勢にも表れています。
剣菱では500年前と変わらない味を提供するため酒米は契約した農家が生産したものしか使用しませんし、お酒を製造する工程においても同じ品質の麹を生み出すためのノウハウを代々引き継いでいたり、酵母も昔ながらの製造方法で造り続けています。
その製造法はとにかく安定した味のお酒を提供することに徹底しており、それが多くの固定ファンを生み出す原動力となっているのです。
いかがでしたでしょうか。今回は「剣菱の日本酒を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」について書きました。ぜひ剣菱を飲みながら、もう一度記事を読んでくださいね。
次回は「作(ざく)」です!作(ざく)は、清水清三郎商店が作り出す清酒であり、数々のコンクールで上位の賞を取っている優れた日本酒です。
記事はこちら>>作(ざく)の日本酒の評価は!味の特徴やこだわりの製造方法を徹底解説 - theDANN media
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