「日本酒50選シリーズ」は、「〇〇の日本酒を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」と題して、様々な銘柄や酒蔵を紹介するシリーズ記事です。
これまでの記事やこれからの記事はこちら、「おすすめ日本酒50選を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?」に書いてあるので、ぜひ見て下さいね。
No.6は「農口尚彦研究所」です!
はじめに
農口尚彦研究所という酒造所をご存知でしょうか。
「酒造りの神様」と呼ばれた杜氏農口尚彦氏が2017年に設立したこの酒造所は、農口尚彦氏の酒造りを余すところなく次の世代へとつなげていく研究所としての役割を持ちながら、新たな銘酒を世に生み出しています。
地元石川さんの原材料にこだわり、昔ながらの山廃仕込みにこだわって生まれた酒は、またたく間に人気となり、入手困難になることもしばしば。
ここでは、農口尚彦氏の酒造りへの思いと、農口尚彦研究所の日本酒のこだわりや特徴、そして研究所内に併設されているテイスティングルームについて紹介します。
- はじめに
- 「酒造りの神様」といわれた農口尚彦氏の思い
- 農口尚彦研究所の酒造りのこだわりと酒の特徴
- 蔵見学とテイスティングルームでのテイスティング体験がおすすめ
- 伝統と最先端の設備と技術を掛け合わせた現代の酒を味わってみよう

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「酒造りの神様」といわれた農口尚彦氏の思い
農口尚彦さんについて 農口尚彦さんといえば、知る人ぞ知る「酒造りの神様」と言われた名杜氏です。
石川県能登で、杜氏一家の三代目として1932年に生まれた農口尚彦氏は、修行ののち菊姫の杜氏として長年活躍しました。
高度成長期には人気が低迷していた日本酒でしたが、業界に先駆けて「吟醸酒」を広め、吟醸酒ブームを巻き起こした立役者でもあります。
また、手間がかかり、難易度も高いとされて、すたれつつあった伝統的な仕込み方法「山廃仕込み」を復活させたことでも有名です。
そんな農口氏は「能登杜氏四天王」の一人として有名でありましたが、2015年に一度酒造りを引退します。
引退後2年が経った2017年、84歳にして初の自身の酒造所を立ち上げたのです。
麹造りにこだわり、伝統の仕込み方法にこだわり、数々の銘酒を生んできた農口氏。
すでに複数蔵で杜氏として活躍し、引退した後に復活してまで、人生最後にやりたかった仕事。
それは、自身の持つ技術や思いを、若い世代に引き継いでいくことでした。
そのために自身の研究所を立ち上げ、ベテランではなく、あえて杜氏を目指す若者たちを蔵人に採用しました。
親子どころか、孫ほども歳が離れた若者たちと一緒に酒造りをすることを選んだ農口氏の思いは、日本酒の素晴らしい伝統を未来に繋いでいくことにあるのです。
また、単にお酒を製造する施設としてだけではなく、日本酒の素晴らしさや伝統を一般の人にも伝えるという目的で、ギャラリーやテイスティングルームも備えた研究所を建設しました。
建物は酒造りのための温度管理や湿度管理もされた最先端の設備が整い、モダンな設計になっています。
現代の技術を駆使しながら、新しい時代の酒造りを行い、その素晴らしさを後世に伝えていきたいという農口氏の意気込みの現れた酒造所といえます。
農口尚彦研究所の酒造りのこだわりと酒の特徴
酒造りのこだわり
農口氏の思いのつまった農口尚彦研究所の酒造りは、どんなこだわりがあるのでしょうか。
日本酒の味を決める重要な要素の一つは、仕込み水でしょう。
農口氏がこだわりぬいたのも、地元石川県の白山連峰からの伏流水でした。
研究所を設立する際にも、候補となる土地の水質を調査して日本酒にふさわしい仕込み水を探したほどです。
米にもこだわっており、同じく地元石川県産の酒米「五百万石」を中心に、兵庫県産「山田錦」、長野県産「美山錦」などを使用しています。
そして酒造りの根幹をなすのは、麹造りと仕込みです。
農口尚彦研究所は2017年に設立された酒造所で、先ほどにもあった通り、最先端の設備とモダンな設計が特徴です。
そのため、これまで古くからある酒造所と違い、いわゆる「蔵つき酵母」といわれる酵母が存在しない状態でのスタートでした。
日本酒好きならば誰しも、蔵ごとの酒の味わいの違いの理由の一つには、酒蔵独自の酵母の影響があるのではと考えるのではないでしょうか。
農口氏自身も新しい設備での麹造りには不安もあったようですが、大切にしたのは、長年自身で蓄積してきたデータを元に、室温や水温、米の状態などによって、秒単位で米への吸水時間や蒸し時間などを変えたり、麹菌の量や振り方もきめ細やかに変えたりすることでした。
蔵の菌の力を借りなければ難しいと思われていた伝統的な「山廃仕込み」製法を、新しい蔵でも実現させたのです。
農口氏のこだわりは、自分主体ではなく、米や菌に合わせて自分を合わせていくこと。
ものに対する愛情の深さがそのまま酒の出来に影響することを、若い蔵人たちにも伝えながら、日々酒と向き合っています。
農口尚彦研究所の酒の特徴と種類
農口氏が酒を作るうえでのこだわりは、時代に合わせた酒を作ることだといいます。
肉体労働の多かった時代には濃くて強い酒が好まれたのに対し、現代では、すっきりとした切れ味が好まれるそうです。
その時代にあった酒を作るのが農口氏の理想であり、実際にも切れ味と旨味のバランスが、農口尚彦研究所の酒の評判の理由でもあります。
生産されている日本酒は、年によって違いますが、本醸造酒、県内限定の純米酒、山廃純米酒、山廃吟醸酒、純米大吟醸酒などが発売されています。
この中でも、代表的な「本醸造 無濾過生原酒」と「山廃吟醸酒」について、特徴を紹介しましょう。
本醸造 無濾過生原酒
農口氏の目指す酒は、飲み続けたくなる切れ味。
その理想の通り、やや酸味があり、フルーツのような香りを持つ爽やかさです。
それでいて重厚感もあり、まろやかさもある、バランスのいいお酒です。
山廃吟醸酒
農口氏の代名詞とも言える山廃仕込みは、しっかりとした旨味の中の、シャープな香りが特徴です。
甘みと酸味のバランスが絶妙で、吟醸香もおだやかに香ります。
蔵見学とテイスティングルームでのテイスティング体験がおすすめ
農口尚彦研究所のお酒を現地で楽しむには、蔵見学とテイスティングルームでのテイスティング体験がおすすめです。
農口尚彦研究所には、12席限定のテイスティングルーム「杜庵」が隣接しており、そちらでのティスティング体験と蔵見学がセットになったツアーは、有料で完全予約制の大人気ツアーとなっています。
農口尚彦研究所に到着すると、目に入るのは、農口尚彦研究所のマーク。
マークの由来は、お酒好きならおなじみの、利き猪口の中の蛇の目マークと、農口氏の「の」を組み合わせたものです。
蔵見学では、ガラス越しで仕込み室を見学し、ギャラリーで農口氏の歩みを知ることができます。
そしてテイスティングルームでは、自然豊かな風景を眺めながら、数種類の日本酒のテイスティングができます。
単に種類別の試飲をするだけでなく、飲み方を変えたり、酒器を変えたりする手の込みよう。
同じ酒でも温度を変えたり、ワイングラスで飲んだり、ぐい呑で飲んだりと、酒好きにはたまらないテイスティングなのではないでしょうか。
そして、利き酒の合間には、農口氏のこだわった仕込み水をいただいて、口の中をリセットします。
農口氏がなぜ仕込み水の伏流水にこだわったのかが、この水を飲むとわかるはずです。
そして、お酒だけでなく、日本酒に合わせた石川県産の数種類のつまみも用意されているのがポイントです。
農口氏が大切にしているのは、日本酒と食事のマリアージュ。
飲む人自身が自分にとって最もいいお酒と食の組み合わせを見つけてほしいという思いで、つまみとセットのテイスティングをおこなっているそうです。
皆さんも公式サイトからぜひ予約してみてください。
伝統と最先端の設備と技術を掛け合わせた現代の酒を味わってみよう
名杜氏農口氏の人生をかけた技術と思いを伝えていくために生まれた農口尚彦研究所の酒は、品薄になるほどの人気を誇るようになりました。
伝統的な山廃仕込みの酒を、若い蔵人とともに最先端の設備と技術で生み出す農口尚彦研究所は、これからも目の離せない酒造所でありつづけるでしょう。
旨味と切れ味の冴えた農口尚彦研究所の酒を、飲み方や酒器を変えたり、さまざまな食事とのマリアージュを楽しんだりしながら味わってみてはいかがでしょうか。
お酒を楽しむとともに、農口氏の、ものに対する愛情や思いも感じるひとときになるでしょう。
いかがでしたでしょうか。「農口尚彦研究所の日本酒がおすすめ!味の特徴や酒造りの神様のこだわり」について書きましたが、ぜひ飲みながら読んでみて下さいね。
次回は「白鶴」です!銀座のビルで米造りをしたり、セミナーを開催したり、新たなチャレンジに目が離せない、酒造メーカーです。
記事はこちら>>白鶴の日本酒を徹底解説!味の特徴は?どんなこだわりがあるの?
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