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日本酒の造り方を徹底解説!〜日本酒の製造工程〜

日本酒の造り方を徹底解説!<日本酒の製造工程>|theDANN media

 

こんにちは、theDANN編集長のダンです。

 

「日本酒の造り方を説明してみてください。」と言われるとなかなか難しいのではないでしょうか。

 

江戸時代より普及した大衆に広めるための製造方法や、最新の機械を使用して日本酒を醸す蔵などもあり、調べてみると造り方一つ取っても酒蔵の個性を垣間見ることができます。

 

そこで、今回は日本酒の造り方についてオーソドックスな手法を勉強していきましょう!

 

<本文以下より撮影協力:井上酒造様・HINEMOS様> 

 

 

日本酒造りはお米選び

 

日本酒はいろんな種類がありますので、選ぶのに迷ってしまいますよね。美味しい日本酒を選ぶためにも、どんなお米が使われているのか、ラベルで確認してみると面白いですよ。

 

ちなみに、お酒造りに使われているお米は、実は1種類ではない場合も多いのをご存知ですか?

 

日本酒のビンに貼られているラベルを見てみると、日本酒に使用されているお米の種類としては3種類あり、酒母用に使用されるお米と麹用のお米、掛米(かけまい)に分かれているんです。※専門用語ついては、それぞれ解説していくので、難しいなと思わなくて大丈夫です!安心してください。

 

日本酒を造っていく上で、この3つのお米がどのように使われて日本酒になっていくのか、見ていきましょう!

 

1.お米を精米する

 

田んぼやテレビなどでお米が籾についている状態のお米を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

 

まずは、私たちが普段見慣れているお米と同じように、機械を使って「もみ殻」という殻の部分と薄皮の部分を取り除き、白いお米だけにしていきます。

 

このお米を削る作業を精米と言います。日本酒に詳しい方は、精米歩合というキーワードを聞いたことがあるかもしれません。

 

精米歩合は白米の状態からさらに削り、雑味を出してしまうと言われている白米の部分をさらに削りとっていく作業です。

 

2.お米を洗って水に浸す

 

精米が終わったお米は、家庭でご飯を炊く前に行う作業と同じで、お米の周りについた米糠(こめぬか)を落とすために、水で綺麗になるまで洗います。

 

米を洗った後は水分を含ませる(浸漬する)ために、数分から数時間ほど水に浸しておきます。

 

漬ける時間は、お米の削り具合によって異なり、ストップウォッチを使って秒単位で計測する酒蔵もあるんですよ。

 

3.水分を含ませたお米を蒸す

3.水分を含ませたお米を蒸す|theDANN media
 

お米に充分水分を含ませたら、お米を蒸していきます。

 

お米を蒸すことで、殺菌効果があるため、日本酒を醸す作業中に雑菌の繁殖を防ぎ品質の良い酒を造ることができます。また、でんぷん質を変化させて、アルファでんぷんというお酒造りに適している状態にします。

 

普段みなさんが食べているお米と同じように考えてみるとイメージしやすいです。お米を炊く前は硬いですが、炊いた後はふっくらし、もちもちの食感になりますよね。お米は、炊くことで、お米のでんぷんの種類が変わり風味が出て、消化もしやすくなるんです。

 

日本酒も発酵食品のため、お米をでんぷんから糖に変え、糖からアルコールに変える工程が必要になってきます。まずは、でんぷんを糖化しやすくなるように、柔らかくするんですね。

 

お米を蒸すためには、「せいろ」という甑(こしき)や蒸米機などで蒸していきます。巨大な蒸し器で蒸した後は、酒母造り用のお米・麹造り用のお米・掛米用のお米に分けて、冷ましておきます。同じお米からそれぞれ違う役割を担うことができるのはなんとも面白い気がしませんか。

 

4.麹(こうじ)を造る

4.麹(こうじ)を造る|theDANN media

先ほど蒸したお米に麹菌という粉末状の菌をふりかけ、40時間ぐらい経過すると酵素が発生します。麹菌が成長していくとお米の周りにふわふわとした菌が繁殖した状態になります。これを麹米と言います。(写真は麹室)

 

この菌を顕微鏡で眺めてみるともやしのような形をしていることから、菌を繁殖させることを「もやす」ともいいます。

 

5.酒母(しゅぼ)を造る

5.酒母(しゅぼ)を造る|theDANN media

アルコール発酵させるには、酵母を大量に増やさなければいけませんが、お酒を造るために増やした酵母を「酒母」と言います。この酒母造りに必要なお米を酒母米と言います。

 

美味しい品質がいいお酒が完成するかは、この酒母を造る作業がすごく重要になってきます。酒母を造る方法は2種類あり、生酛系酒母(きもとけいしゅぼ)と、速醸系酒母(そくじょうけいしゅぼ)があります。

 

生酛系酒母(きもとけいしゅぼ)の造り方

 

生酛系酒母造りは、手間のかかる伝統的なお酒造りの手法で、上質なお酒を造ることができます。

 

酒母造りには酒蔵にある酵母を自社培養している場合と協会酵母という販売している酵母を購入して、酒母を造るケースがあります。

 

後ほど紹介する速醸系とは異なり生酛系の酒母は、自然界の乳酸を取り入れてアルコール発酵させる方法です。そもそもなぜ乳酸菌が必要になるのでしょうか。

 

実は、日本酒を発酵させると同時に雑菌も繁殖しやすくなってしまうんです。その雑菌の繁殖を防ぐのが乳酸菌です。

 

空気中には、天然の乳酸菌が飛んでおり、雑菌と戦いながら酒母を上質な乳酸菌で満たしていきます。

 

酒母が出来上がるまでにだいたい1ヶ月ぐらいかかりますが、乳酸菌がいることで雑菌が繁殖せずに品質の良いお酒を造ることができるんですね。

 

ただし、悲しいことにアルコールの濃度が高くなってくると乳酸菌は死滅してしまうんです。。。日本酒の陰の立役者といっても過言ではないでしょう。

 

速醸系酒母(そくじょうけいしゅぼ)造り方

 

速醸系酒母は短期間でお酒を作るために、江戸時代に考えられた方法です。生酛系酒母造りは温度管理や清潔な環境などが必要になってくるため、日本酒ができるまでに傷んでしまうケースが多かったのです。

 

日本酒造りが盛んな新潟や北陸など寒い地域に多いのも、いかに日本酒が雑菌に弱いかがわかるでしょう。

 

日本酒の品質を安定させながら発酵させるために、乳酸菌を先に入れてしまう速醸系酒母造りが考案されました。

 

乳酸菌を加えることにより雑菌を心配しなくなるため、仕込みの温度を上げて糖化を早めることができます。これにより、酒母の育成期間が生酛と比較すると半分の約2週間ほどでできてしまいます。

 

5.醪(もろみ)を造る

5.醪(もろみ)を造る|theDANN media

酒母ができた後は、醪を造っていきます。

 

酒母は言わば、お酒の素になるもので、掛け米や水など混ぜたおかゆのようなものに、酒母を入れて一気に培養し、醪を造っていきます。この醪が完成するとアルコールを造る工程はほぼ終わりになります。

 

6.上槽(じょうそう)を行う

6.上槽(じょうそう)を行う|theDANN media
 

上槽とは、お酒を絞る作業のことです。醪(もろみ)を絞ったカスのことを「酒粕」と言い、絞られた液体が日本酒になります。

 

昔は醪(もろみ)を絞るために、何十もの袋に入れたもろみを木製の槽(ふね)に並べて、圧力を掛けて絞っていたので上槽と言われています。

 

自然の圧力で絞るため雑味が少ないとされており、今でもこの手法で絞る酒蔵さんもいます。

 

現代では、圧搾機というアコーディオンのようになっている蛇腹の袋の中に、醪をパイプで流し込み、圧力をかけて一気に絞ります。

 

また、この絞ったお酒が出てくるタイミングによって、お酒の名前が区別されている場合もあります。一番初めが「あらばしり」、中間に出てくるのが「中どり」、最後に出てくるのが「責め(せめ)」と言います。ただ、どの部分までが「あらばしり」なのかは、蔵によって異なるので、「ああそういうのがあるんだ」程度で知っておく方がいいかもしれません。

 

7.おり引き・ろ過を行う

 

お酒を絞った後は、お米などの固形物がまだ混ざっているため、固形物を沈殿させており引きを行った後に、ろ過をします。

 

実は、日本酒は醪をろ過しないと日本酒として認められないと法律で決まっているため、日本酒として販売したい場合は、ろ過が必ず必要になってきます。

 

全くこさない場合は、どぶろくとなり、荒い布でこした場合は、にごり酒になるので覚えておきましょう。しっかりとろ過し、普段私たちが慣れ親しんでいる無色透明の日本酒の出来上がりです。

 

8.貯蔵前の火入れ

瓶詰めをする前に火入れをし、長期保存できるようにするケースがあります。火入れをしない場合は、生酒(なまざけ)といいフレッシュな味を楽しむことができます。

 

1度のみ火入れをするケースを「生貯蔵」「生詰め」と言います。生じゃないのに、「生」がつくので注意しましょう。

 

9.貯蔵する

 

季節ごとに日本酒は、商品名が変わってきます。醸造された日本酒をすぐに出荷する場合は、春先に新酒として市場に出回ります。

 

夏や秋まで蔵で保管すると、角がとれたようなまろやかな味になります。夏に販売されると「夏酒」、秋に販売されると「ひやおろし」と言います。

 

10.割り水をする

 

火入れをしていない日本酒の場合、アルコール発酵がさらに進み度数が上がってきたり、そもそも日本酒が完成した時点で、アルコールの度数が20度くらいとかなり高い場合があります。

 

その時には、お水を加え(加水)、日本酒のアルコールを下げる場合もあります。加水をすることで、まろやかな味わいにすることができます。

 

加水をしない場合は、「原酒(げんしゅ)」というのでこちらも覚えておきましょう。

 

11.最後にもう1度火入れ

11.最後にもう1度火入れ|theDANN media

瓶詰めした後に出荷前にもう一度火入れをする場合もあります。こちらの日本酒は常温保存などに適しており、コンビニやスーパーなどで常温販売されている日本酒の場合は、ほとんどが2回火入れしている日本酒です。

 

12.酒屋などへ出荷

 

お酒を入れる容器としては、ガラス瓶と紙パックがあります。完成したお酒を充填したら、お酒を販売するお店へ出荷します。酒屋やスーパーなどの店頭に並べられ、私たちが普段飲む日本酒を購入できます。

 

まとめ

 

品質のいいお酒を造るために様々な工程があるのを学んできましたね。今回、ご紹介したのは、基本的な造り方になります。

 

また、作り方が一緒でも、お米の種類や酒蔵の環境など、味が変わる材料が多数存在するので、この造り方だから味がこうだと言えないのが一般的です。

 

ぜひ日本酒を飲む前や飲んでいる時にどのような造り方で、今飲んでいる日本酒ができているのか想像しながら、日本酒を飲んでみると面白いかもしれませんね。