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日本酒の造り方「製麴:せいぎく」を徹底解説!工程や破精による評価とは

日本酒 製麴 米 麴


こんにちは!お酒大好きtheDANNガールです。

 

いきなりですが、製麴(せいぎく)ってご存知ですか?

 

漢字を見てお気づきかもしれませんが、日本酒造りに欠かせない「麴」を作る工程のことなんです。

 

 

今回は、日本酒の造り方シリーズ、

 

「製麴」について解説して行きます!

 

 

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製麹は何のため?


製麴とは、蒸した米に種こうじを散布し、麹菌を繁殖させて麹を作る日本酒製造には欠かすことのできない大切な工程です。

 

「一に麹(こうじ)、二に酛(もと)、三に造り」といわれる中の、一番始めの大事な工程に当たります。

 


米で作られる米麹は、蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、日本酒だけでなく味噌・醤油・漬物・甘酒などの発酵食品の製造に使われています。

 
ぶどうのような果実であれば、放っておけば自然に発酵が進みアルコールを作ることができます。

しかし日本酒の原材料である米は、自ら発酵することができません。

 

米からアルコールを作るためには麹の力が必要となるのです。

 

【麹の働きその1・糖化】


蒸した米にはデンプンが含まれています。

酵母はそのままデンプンを食べることができないので、酵母がブドウ糖を食べてアルコールを作り出せるように、デンプンをブドウ糖に変えることが麹の働きとなります。

 

【麹の働きその2・旨味の素】


麹米のタンパク質をアミノ酸に変化させるタンパク質分解酵素を持っています。

タンパク質から分解されて作られたアミノ酸は日本酒の味わいを作るために重要なコクと旨味の素になります。

 

【麹の種類】


麹にはいくつか種類がありますが、日本酒造りには主に黒麹・白麹・黄麹が使われています。

 

<黒麹>


雑菌の繁殖・もろみの腐敗を防ぐクエン酸を作る力が強い麹で、沖縄から九州へ伝わったといわれています。

飲んだ後のキレの良さ・インパクトのある骨太な味・コクのある酒に仕上がります。

主に焼酎を作ることに用いられますが、心地よい酸のある日本酒を作るときにも使われています。

 

<白麹>


黒麹菌から突然変異で生まれた菌を培養して作られた麹で、九州で使われています。

黒麹よりも酵素力が優れていること、黒麹の胞子が黒いため服・蔵が汚れてしまうことがあったため白麹を使うことが多くなったそうです。

黒麹よりも穏やかでマイルド、素材の味わいが感じられる酒に仕上がります。

 

<黄麹>


クエン酸を含んでいないので腐敗しやすいため酒造りに不向きでしたが、醸造技術が進み腐敗させることなく発酵させることができるようになったため使われるようになった麹です。

清酒に使われていますが、最近では焼酎造りにも使われていてフルーティーな香りが楽しめるようになっています。

 

【麹の健康効果】


麹にはアミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼなどの消化酵素が豊富に含まれていて、代謝機能の促進・解毒作用を高める効果があるといわれています。

 

麹は味噌にも含まれているので、朝食に味噌汁を1杯食べるとその効果を得ることができます。


また甘酒は米と麹で作られた飲み物で、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・パントテン酸などの必須アミノ酸・ブドウ糖が含まれています。


体内の熱や毒を排出する解毒作用があるので、体調不良や疲れているときに飲むと効果があります。

滋養強壮剤として、夏バテや疲労回復・風邪予防として子どもから大人までと幅広い年齢層で飲むことができる健康ドリンクです。

 

製麹の工程


米から麹へと変わっていく工程を紹介します。


麹菌の繁殖に適している温度は30〜40度で、15度以下では麹菌は働かず、50度を超えてしまうと死滅してしまいます。

麹菌は生きて呼吸をしながら繁殖します。呼吸するときに熱が発生するため、放置すると温度が上がり続けます。

また炭酸ガスも一緒に放出されるので、空気を入れ替えないと酸素不足になり繁殖ができなくなってしまいます。

つまり、保温・換気・適切な温度管理が製麹では重要となります。

 

【引き込み】


蒸し上がった米を35度前後になるように冷却してから、室温が30度前後に設定されている麹室へ運びます。

温度が均一になるように布が敷かれた床に蒸米を積み上げて、その上に布を被せて重ねていきます。

 

【種切り】


床に積み上げた蒸米は2〜3時間経過すると、温度・水分は均一になります。

蒸米を広げて、麹菌を大量に繁殖させた麹米の入った容器を高く持ち上げ、カラカラと振ることで胞子が蒸米全体に付着するようにします。

 

【床もみ(とこもみ)】


胞子が蒸米の表面に均等に付着するように良く混ぜ合わせます。

中央部分にある蒸米を手前に引き寄せ、しっかりと手で揉み込んでから床に押しつけるように前方へ押していく作業で、「床がえし」とも呼ばれています。


床もみが終わると麹菌の増殖力を回復させるために、麹菌のついた蒸米を集め直して積み上げ布を被せて保温します。この時点で蒸米は麹米に変わります。

 

【切り返し】


床もみから10〜12時間経過すると、麹米同士がくっつき塊になります。

この塊を手でほぐすことで麹米の温度・水分・が均一になり、酸素が全体的に行き渡ることで麹菌の繁殖が促進されます。


切り返しが終わると、麹米を集め直して積み上げ、布を被せて麹菌の繁殖を待ちます。

 

【盛り】


切り返しから11〜12時間経過すると、麹米の表面に白い斑点が現れはじめます。

これは菌が繁殖を始めている証で、同時に麹米の温度が上昇していきます。

温度調節が重要となるので、管理しやすいように小箱に盛り分けていきます。

細かい調整が必要となる大吟醸酒の場合は、小箱より小さな「蓋」と呼ばれる容器に盛り分けます。


盛りには3つの方法があります。

 

<蓋麹法(ふたこうじほう)>


麹蓋という木製の盆に麹米を入れる伝統的な方法です。

米質や麹米の硬軟によって作業ごとに調節することができるので、目標とする麹の品質に仕上げやすいのが特徴です。

 

<箱麹法(はここうじほう)>

 

麹箱という木製の箱に麹米を入れる方法です。

蓋麹法より効率が良いので、多くの酒造りの現場ではこの方法が採用されています。

 

<機械製麹法(きかいせいきくほう)>


機械を使って麹を作る方法です。

機械で温度・湿度を適度に調節してくれるので、麹菌の繁殖をコントロールすることができます。

 

【積み替え】


盛りから3時間経過すると、麹の温度が上がってくるので小箱の上下を入れ替えて麹米の温度を下げます。

 

【仲仕事(なかしごと)】


積み替えから3時間経過すると、麹米の温度が上昇することで塊になります。

温度を下げるために塊をほぐし水分を発散させます。

盛っていた麹米を6〜7cmの厚さに平たくしていきます。

塊をほぐして水分を発散させる作業はスピードが重要となります。

ゆっくり作業してしまうと、温度が下がりすぎて麹菌の繁殖に影響が出てしまうので気を抜くことができない重要な作業となります。

 

【仕舞仕事(しまいしごと)】


仲仕事から6〜7時間経過すると、麹米の温度は40度ぐらいまで上がります。

ほぐして温度を下げてから、水分を発散させるために麹米に溝を作り空気を触れる面積を広げます。

仕舞仕事も仲仕事同様温度調節が重要となるの手早く作業する必要があります。

 

【出麹(でこうじ)】


仕舞仕事から8時間くらいで掛麹、12時間くらいで酒母麹が出来上がります。

麹菌の繁殖を止めるために麹室から出して温度が下がったら麹が完成します。床もみから出麹まで、麹は約50時間、掛麹は約45時間かかるといわれています。

 

出来上がった麹の評価


菌糸の繁殖度合いである「破精(はぜ)」によって評価が分けられます。

 

【総破精(そうはぜ) 】


麹米の全表面から内部までと菌糸が深く食い込んでいる状態で、糖化力が高く発酵が早く、使用する量によって味の多い酒になりやすいのが特徴です。

 

濃厚でどっしりとした酒に仕上がるため、純米酒に使われています。

 

【突き破精(つきはぜ)】


菌糸が麹米の表面全体にまばらになっている状態で、発酵がゆっくりと進み香りが出やすいのが特徴です。

 

淡麗で上品な酒に仕上がるので吟醸酒に使われています。

 

【塗り破精(ぬりはぜ)】


麹米の表面に水分が多くあるため、麹菌が中まで菌糸をのばす必要がないと感じ表面だけに破精が回った状態になっているので力のない麹が出来上がってしまいます。

 

酒造りには使えない失敗作の麹です。

 

【馬鹿破精(ばかはぜ)】


総破精が行き過ぎた・蒸米が柔らかすぎると、破精が回りすぎて指で押すと粒が潰れてしまいペースト状になってしまいます。

 

こちらも酒造りには使えない失敗作の麹です。

 

麹の割合


日本酒は、普通酒特定名称酒の2種類に分類されます。

麹の割合が15%以下は普通酒、15%以上は特定名称酒となります。


普通酒とは本醸造酒系で精米歩合が71%以上で日本酒の約7割近くを占めています。


特定名称酒とは米の精米歩合や原料などの条件を満たした日本酒となります。

 

特定名称酒は吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3種類に分けられます。

 

【吟醸酒】


精米歩合60%以下に精米した米・米麹・水・醸造アルコールなどを原料とし、吟醸造りという製法で作られた日本酒です。

精米歩合とは米をどれだけ磨いているかを示す数値で、米の中心部分にいくほど雑味が少なくなるといわれています。

精米歩合60%以下とは米を40%以上磨いた状態です。

磨いた米を低温でじっくりと発酵させ日本酒にする製法が吟醸造りです。

華やかでフルーティーな味が特徴となっています。
精米歩合50%以下に精米した米・米麹・水・醸造アルコールなどの原料で作られた場合は大吟醸酒となります。

 

【純米酒】


米や米麹・水を原料として作られた日本酒で、醸造アルコールは添加されていません。米の味わいが深く、ふくよかな香りが特徴となっています。


純米吟醸酒・純米大吟醸酒・特別純米酒がありますが精米歩合・醸造製法などの違いがあります。
純米吟醸酒:精米歩合60%以下に精米した米を使い、華やかな香りが特徴となっています。
純米大吟醸酒:精米歩合50%以下に精米した米を使い、穏やかな香りと風味が楽しめます。
特別純米酒:精米歩合60%以下に精米した米を使い特別な醸造製法で作られた特別な純米酒です。

 

【本醸造酒】


精米歩合70%以下に精米した米や米麹・醸造アルコールや水を原料として作られた日本酒で、香味・色沢が良好になっていることが条件となっている日本酒です。

添加する醸造アルコールの量は、使用する米の重量10%までと決められています。

吟醸酒と比べて香りが抑えられたシンプルな味になっています。

 

精米歩合60%以下に精米した米を使う、または特別な醸造製法で作られている場合は特別本醸造酒となります。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。とても長かったですよね。

そう、この「製麴」の作業ってとても大変で時間がかかる作業なんです。

かかる時間はおよそ48時間。つまり丸々2日かかっているんですね!

この苦労を知れば、ますます今夜のお酒も美味しくなるはず。。。

では、これにて日本酒の造り方シリーズ、「製麴」の記事を終わります。

今日も楽しい晩酌を♪

 

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