(写真:横浜君嶋屋4代目社長、君嶋哲至様)
明治25年に創業され現在に至るまで地元の人々に愛され続ける老舗酒屋、『横浜君嶋屋』(以下 君嶋屋)。
「情熱から感動へ」、造り手の熱い想いをお客様に届け、感動をお届けしたい。
そんな、お酒の造り手とお客様の両方に寄り添った素敵な酒屋の真髄に迫ります。
今回は、四代目君嶋屋社長である君嶋哲至さんにお話を伺いました。
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君嶋屋の歴史
本日はよろしくお願いいたします。
君嶋氏:よろしくお願いいたします。
まずは君嶋屋が誕生した経緯についてお話を聞かせてください。
君嶋氏:創業したのは120年前ですね。
地元に「お三の宮日枝神社」という神社があるのですが、その正面に「君嶋屋」ができました。
戦争で、神社や小学校の前が壊され、君嶋屋もほんの少し移動して今の場所になりました。
当時は、神社へお参りに来た方達に一杯飲んでいってもらうような、おそらく立ち飲みのようなタイプのお店だったと思います。
また、広島から賀茂泉(かもいずみ)という日本酒を樽で運んできて、お店の前の橋の名前をとって「一本橋」という名前で酒を瓶詰めして出していた、という資料を子どもの時に見たこともあります。
それは一升瓶(1.8リットルの大瓶)に詰めていらっしゃったのですか。
君嶋氏:一升瓶だか通い瓶だか、その当時のことですので分かりませんが、詰めて売っていたというのは聞いたことがあります。
今のように色んな種類のお酒やワインは、もちろんその時代無いのですが、こだわりもありませんでした。
こだわって選んだお酒を出すというより、一般的なお酒を出していたということですね。
君嶋氏:そうです。
銘柄もあまり多くなく、おそらく飲みに来てくださる方たちのために出していたのではないかと思います。
スタイルの転換
ホームページで拝見したのですが、四代目になってから、「小売」ではなく「卸売」のスタイルに方向転換したのは何か狙いがあってのことなのでしょうか。
君嶋氏:私は35年前くらいからこの仕事を始めたのですが、始めた当初は日本酒も大手の4、5銘柄くらいしかありませんでしたし、ワインも一般的なものが3種類くらいしかありませんでした。
そこから徐々にですね、小売とか卸売とか、そういうことを考えずにとにかく美味しい「日本酒」を、それから「甲州ワイン」を欲しい人と造る人の間で売っていきました。
例えば、桝田酒造さんの満寿泉の大吟醸を飲んだ時に、日本酒の美味しさに初めて気づいたんですよ。
それから何度も何度も蔵元に足を運び、なんとかうちで取り扱わせてもらえないかと頼みました。
そんなことを繰り返すうちに今の君嶋屋のスタイルになっていきました。
売ってやろうという思いでスタイルを変えたというわけでは決してないです。
特に狙いがあったわけではなく、また、卸売に変えようと思って変えたわけでもないということなのですね。
君嶋氏:そうですね。
今も、卸売というよりは、たまたまワインも輸入していますので、卸をせざるを得ないというか。
注文があって、その際に必要があれば卸になるといった形なので、特に卸売でやって行こうというのがあったわけではないです。
(写真:君嶋屋の角打ちメニュー)
なるほど。 ちなみに、ワインを海外から輸入するようになったきっかけみたいなものはあるのでしょうか。
君嶋氏:1997年からワインを輸入し始めたのですが、その時インポーターの方と一緒にフランスを回りました。
そこで、日本酒でやっていることをワインでもやってみたいと思える造り手に出会えたということがきっかけですね。
そうだったのですね。
もともとワインはお好きだったのですか。
君嶋氏:もともとお酒は好きで、美味しい食事と合わせて飲むのが好きなんです。
それで、美味しい食べ物と合わせてワインを飲むという感じでした。
これは日本酒も同じですね。
食事をする空間やシチュエーションを大切にしたいと思っています。
それはワインでも日本酒でも焼酎でも同じという考えは未だ変わらないです。
食中酒の追求
では、どちらかというとお酒単体で飲まれるより、食中酒としてのお酒が好きで出されているということですね。
君嶋氏:そうですね。
しかしそれならウイスキーは嫌いで出さない、とお酒好きの方には思われるかもしれないのですが、そういうことはありません。
ウイスキーも食後酒としては一つの食事という枠組みの中で飲まれるお酒ですから、それも広い意味で食中酒に含んでいます。
ただ、ウイスキーはまだ専門性が浅いので、これから深めていきたいですね。
ウイスキーについて
ウイスキーも数種類販売されていますが、どのように選んだのでしょうか。
君嶋氏:まずは、モエヘネシーを選びました。
いわゆるボルトの中でもスタンダードな部分をというのと、価格的にも手に入れやすい値段で、味的にも納得できるっていうものをセレクトしています。
お客さんの反応はどうですか。
君嶋氏:思ったよりもリピーターが多くてビックリしています。
日本のウイスキーは今高くて手の届きにくいものが多くある中で、スコッチなどは3,000円から4,000円のものがあるので、お買い求めやすいと思います。
それに、すごく美味しいと評判もいいです。
日本のウイスキー人気が、海外のウイスキー人気に繋がっているということもあるんでしょうか。
君嶋氏:はい、そうですね。
今は日本のウイスキーが人気ですが、海外のウイスキーの良さも知っていただきたいですね。
国産の良さはエレガントさや飲みやすいというところで、それはスコッチとは違いますよね。
また、アイリッシュウィスキーなども、日本のウイスキーが売れているのであれば逆に狙い目なのではないかなと思います。
日本のウイスキーがなぜここまで世界的に評価されたかというのを色んな視点から見ていくと、他にも色々なお酒の人気が出てくる可能性があるのかなと感じています。
日本のウイスキーが今評価されている理由というか、きっかけで思い当たるものはありますか。
君嶋氏:やっぱり優しくてエレガントで攻撃性がない味でしょうね。
スコッチみたいなしっかりとした味わいが強さだとしたら、日本のウイスキーの味わいは優しさに例えられますね。
君嶋屋の立地について
GINZA SIXの中や、今はないですが表参道ヒルズの中など、一等地に進出している酒販店さんが多いですよね。
君嶋屋も銀座や恵比寿に店舗を置かれていますが、どのような狙いがあるのですか?
君嶋氏:狙いというのはなくて、銀座店の立地はそもそもうちがやるまではそんなに一等地ではなく、ここ(銀座店)は昔は銀座の終わりと言われていた場所でした。
でもうちは銀座の始まりにしたいということで始めたのです。
恵比寿店に関してはやはり我々が扱っている特に日本酒が少しでも多くの若い世代や若い女性にも触れられる場所に出したかったということなのです。
若い若いと言いましたが年齢を気にしているのではなくて、若い世代もこういうお酒を飲むきっかけが必要だと感じたのです。
ですから、恵比寿店は駅前で恵比寿駅のホームからも3分で来られるという立地で、若い方も多くいらしてくださいます。
君嶋屋のお客様は、お酒もワインもこだわった、目の肥えたお客様が多く、そういうところでやはり、若手が頑張って造っている日本酒を、我々も若手中心でおすすめしていきたいなと思っています。
どちらかというとその土地にいるお客さんの層を考えての立地なのですね。
ところで、恵比寿や銀座は酒屋さんが多いイメージがありますが、あえて人気エリアに出してるのでしょうか?
君嶋氏:多いところに出したほうが良いんじゃないですかね。
例えば楽器屋が一つポツンとあるよりは楽器屋が集まっていたほうが良いと思いますし、全部個性が違いますよね。
うちはうちなりの個性を出してきたつもりですし、今後も出し続けていこうと思っています。
ですので、他の酒屋さんの動向はあまり気にしていません。
ただ、世の中の流れは見るようにしていますね。
時代と共に変化する
時代の流れっていうキーワードがあると思うんですけど、ニーズの変化とか例えばライフスタイルの変化は影響されるものなのですか。
君嶋氏:はい。
例えば、10年前と今とで、お客さんはどう変わりましたか。
君嶋氏:今徐々にトラディショナルなスタイルに変わってきていたり、少しオーガニックだったり、割と攻めよりも癒しだったり。
色んな好みの変化があります。
また、家での晩酌用の一本という流れもあるのかなと思います。
居酒屋さんで飲む文化ももちろんあるんですけど、家で作ったおつまみと一緒に飲めるお酒をお客様が求めるようになったと思います。
自分たちの作った料理とペアリングするお酒というイメージでしょうか?
お客様のお酒の買い方にも、変化はありますか?
君嶋氏:そうですね。
やはり自分たちでお酒を選ばれるようになってきましたよね。
居酒屋とかも同じだと思うんですけど、自分たちが横浜に出てた時は、お客さまの好みを聞いた上でこれはどうですかと提案していたんです。
ところが、恵比寿店や銀座店のお客様に接すると、もう自分の中にスタイルがあって、これを買いに来てるっていうのがありますよね。
もちろんうちの店にあるものの中で選んではいるんですけど、それを分かって決めて入って来て、女性一人でもパッと一本四合瓶持って買って帰られるっていうのは、なんかお客様のスタイルとして一つ確立されてきたなと思います。
お客さんは飲食店などで好きなものを見つけて、酒屋さんにいらっしゃるんですね。
ブランドではなく自分の好みの味で選ぶ若者が多いというビール業界の話を耳にしたのですが、日本酒でもそのような傾向が出ているのかもしれないですね。
君嶋氏:そうですね。
造り手側も、若い人たちによってどんどん変わってきていますからね。
具体的にはどう変わってきていますか?
君嶋氏:今の若い造り手の酒造りの流れとしては、顔が見える農家さんが、半径何キロかまでは分かりませんけど、そこの地元の水で作っているお米で造っています。
酵母については、香り系の酵母が一時流行ったのですが、そういうものを使わず割とトラディショナルな9号や14号、7号や6号を使っています。
いわゆるバーッと香りが出ない方法を用いているので、強すぎない上品なフルーツの香りが出ているんです。
お酒だけ飲んでも美味しいのですが、料理と合わせるとさらに生きて飲み飽きしない、酸味も少しあるようなお酒に変わってきていますね。
しかも、値段もこの値段でいいのか?と思ってしまうくらいに良心的です。
日本酒業界の不振について
日本酒業界全体で見るとなかなか厳しい状況だと思うのですが、その中でも特定名称酒が伸びている理由のようなものはありますか?
君嶋氏:それは若い造り手が本気で頑張っている。
中には採算度外視なんじゃないかと思うほど、日本酒造りに真剣に励んでいる造り手もいます。
それを飲まなくて日本酒がどうのこうのなんて言う理由が分からないです。
そのくらい彼らは頑張っている。
そんなに頑張っているのに我々がそこを応援しないっていうのもおかしいのかなと思っています。
造り手の中には、それまで機械でした作業を全部手でやって、米だって全部手で運ぶように変えたりとかしていて、そういう努力をものすごくしているんですよ。
親がやっていたことの真逆をやっているわけですよね。
それに対してただ黙っているのは駄目ですよね。
そんなに頑張っているのですから、こんなに日本酒がすごいんだって思わない理由がないですよね。
若い造り手の方の美味しい日本酒たくさんありますよね。
あれだけ頑張っているのですからね。
それを伝えていければ、日本酒業界ももっと伸びると思います。
昔みたいに大手の似たりよったりのもので干物を食べるみたいなお酒ではなく、例えばみむろ杉のようなお酒。
値段に対するクオリティがすごいお酒です。
お話しをお伺いする中で、酒蔵さんとの関係を大事にされてるのだなと感じました。
君嶋氏:そうですね、うちは親戚だと思ってお付き合いさせていただいてます。
ただイチ仕入れ先ではないので全て色んな所が親戚付き合いをしている感じです。
だから来週とかも高島屋でイベントをやるのですが、みんな来ていただいてやってますし、あと蔵元が来て音楽をするイベントも開催しています。
有名なものをただ売るんじゃなくて、酒ロックフェスティバルみたいな。
とにかくただ右から左に酒を流すというのではなく、ワインも日本酒の蔵も頑張って工夫しています。
いいですね。酒ロックフェスティバル。
君嶋氏:日本酒は結構お好きなんですか?
好きですね、でも本当に好きな人と比べたら全然なんです。
君嶋氏:いやいや、そんなめちゃくちゃマニアになる必要はなくて、お酒って、好きっていうだけでいいんです。
最後に
お酒を好きなだけでいい。
そう言っていただけると気軽に酒屋さんへも足を運べそうですね。
この度は貴重なお話をありがとうございました。
「美味しいお酒を広めたい」という一途な情熱が伝わってくるインタビューでした。
時代と共に、酒蔵と共に、変化を続ける君嶋屋。
お酒が好きな皆さんはぜひ、一度君嶋屋を訪れて見てください。
きっと素敵なお酒と、人との出会いが待っているはずです!
銀座 君嶋屋について
営業時間 | [月-金]10:30-21:00[土]10:30-20:00[日祝日]10:30-19:00 |
---|---|
郵便番号 | 104-0061 |
住所 | 東京都中央区銀座1丁目2-1 紺屋ビル1F [Googleマップを開く] |
電話番号 | 03-5159-6880 |
URL | http://www.kimijimaya.co.jp/shop_profile.html |
https://www.facebook.com/ginza.kimijimaya | |
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パートナーの方やご友人の方と、気軽にペアリングを楽しめます。
ぜひ、the newによる新しいワインのストーリーをお楽しみください。